結論

男性の育休で後悔する人の多くは、「休むのは申し訳ない」「短く取れば迷惑をかけずにすむ」と考えて、育休の期間や仕事の引き継ぎを、家族とも職場とも十分に話し合わないまま決めてしまう人です。準備が足りないまま休みに入ると、休み中も仕事の連絡が気になり、家族の大切な時期に、思うように関われなくなってしまいます。男性の育休は「仕事を少し休むこと」ではなく、「家族と職場の両方と、早めに段取りを決めて臨むもの」です。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、男性の育休で後悔する理由と、取る前に決めておきたいことを解説します。

1失敗ストーリー

育休の2週間、ずっとスマートフォンを手放せなかったAさんの話

土曜朝の公園で、ジョギング仲間のAさんから男性の育休の失敗談を聞いて驚くまなぶのイラスト

まなぶは、週末の朝に近所の公園をジョギングしています。ある土曜日、ベンチで休んでいると、ベビーカーを押して歩いてきたのが、同じジョギングの仲間のAさん(30代男性)でした。Aさんは、事務機器の会社で、企業向けのシステムの導入を担当する技術者です。去年、第一子が生まれ、育休を取ったそうです。まなぶが「育休、どうでした?」と聞くと、Aさんは少し考えてから、「正直に言うと、もっとちゃんと準備すればよかったって後悔しているんだ」と答えました。(登場する人物は、よくある失敗をもとに編集部が再現したものです)

Aさんの会社では、男性で育休を取る人はまだ少なく、Aさんの部署では初めてでした。「長く休んだら、取引先にも同僚にも迷惑がかかる」。そう考えたAさんは、子どもが生まれてすぐの2週間だけ、育休を取ることにしました。上司に伝えたのは、出産の予定日の1か月ほど前。担当していたシステムの導入の仕事は、「何かあったら連絡してください」と同僚に伝えただけで、休みに入りました。

ところが、育休が始まると、同僚からの連絡が毎日のように届きました。「この取引先の設定は、どうなっていますか」「来週の打ち合わせ、どうしましょう」。Aさんは、赤ちゃんを寝かしつけながらスマートフォンを見て、夜にはパソコンを開いて返事をしていました。妻からは、「家にいるのに、仕事をしている時間のほうが長いね」と言われてしまいました。休みを短くしても、準備をしないまま休んだことで、仕事からも家族からも中途半端になっていたのです。

2週間はあっという間に過ぎ、Aさんは仕事に戻りました。けれども、妻の体はまだ回復しきっておらず、夜中の授乳や家事は、妻が一人で抱えることになりました。あとになって、妻から「本当は、最初の1か月がいちばん大変だったの」と聞かされ、Aさんは、自分が家族と育休の期間をきちんと話し合っていなかったことに気づきました。「仕事に迷惑をかけないことばかり考えて、家族に何が必要かを聞いていなかったんだよね」。Aさんは、ベビーカーの中で眠る子どもを見つめながら、静かにそう話してくれました。

2原因分析

男性の育休で後悔する理由

1

家族と、いつどれくらい休むかを話し合わなかった

育休の期間を、職場への遠慮だけで決めてしまうと、家族にとっていちばん手が必要な時期と合わないことがあります。出産のあとの体の回復や、上の子の世話、実家の手助けを受けられるかどうかなど、家族によって事情はさまざまです。育休の期間は、まず家族と「いつ、どれくらい手が必要か」を話し合ってから決めることが大切です。家族の希望と職場の事情の両方を知ったうえで決めれば、あとで後悔することが少なくなります。

2

制度の中身を、確かめていなかった

育休の制度は、ここ数年で大きく変わり、取り方の選択肢が増えています。たとえば、子どもが生まれてから8週間以内に、最大4週間まで、2回に分けて取ることもできる「産後パパ育休」という仕組みがあります。どんな取り方ができるのか、会社への申し出はいつまでに必要か、休み中のお金の支えはどうなるのかを、早めに人事担当に確かめると、選べる道が広がります。制度を知っていれば、「短く1回だけ」以外の取り方も考えられます。

3

上司への相談が、遅かった

出産の予定日の1か月前に伝えると、職場は代わりの体制を整える時間が足りません。結果として、休み中に連絡が集まりやすくなります。育休を考え始めたら、できるだけ早く、上司に「この時期に、これくらい休みたい」と相談するようにしましょう。早く伝えるほど、担当の仕事の分け方や、取引先への説明も、落ち着いて準備できます。会社には、育休を取りやすい職場をつくる決まりもあるため、早めの相談は遠慮することではありません。

4

引き継ぎを、「何かあったら連絡して」で済ませた

「何かあったら連絡して」と言って休みに入ると、同僚は困ったときに遠慮なく連絡してきます。Aさんの場合も、取引先ごとのシステムの設定や、打ち合わせの予定が、Aさんの頭の中にしかありませんでした。休みに入る前に、担当の仕事ごとに「今の状況」「次にやること」「判断を任せる人」を一覧にして渡しておくと、同僚は自分で動けるようになります。取引先にも、代わりの担当者を早めに紹介しておきましょう。

5

休み中の連絡の決まりを、決めていなかった

連絡の決まりがないと、休み中も仕事とのつながりが切れず、家族との時間に集中できません。「急ぎの判断は上司に、それ以外は復帰後にまとめて」など、休み中の連絡のしかたを、上司や同僚と決めておきましょう。どうしても確認が必要なことがあれば、「週に一度、決まった時間にだけメールを見る」と決めておく方法もあります。決まりがあれば、同僚も迷わずに動け、自分も安心して休めます。育休は、家族と新しい生活を始めるための大切な時間です。その時間を守るための準備も、育休の一部だと考えましょう。

3図解

遠慮して短く休む人と、段取りを決めて休む人の違い

⚠ 男性の育休で後悔する人のパターン
職場への遠慮だけで、育休の期間を短く決める
↓
上司への相談が遅く、引き継ぎも「何かあったら連絡して」
↓
休み中も、毎日仕事の連絡に返事をする
↓
仕事からも家族からも中途半端になり、大切な時期に関われない
◎ 男性の育休を上手に取る人のパターン
家族と、いつどれくらい手が必要かを話し合う
↓
制度を確かめ、早めに上司に相談して引き継ぎの一覧を作る
↓
休み中の連絡の決まりを決めてから、休みに入る
↓
安心して家族と過ごせて、職場も落ち着いて仕事を進められる
4解決策

男性の育休で後悔しないためのチェックリスト

育休を考え始めたら、次の項目を確かめてみてください。準備は、出産の予定が分かったときから少しずつ始めるのが理想です。

  • 家族と、いつどれくらい手が必要かを話し合った
  • 会社の育休の制度と、申し出の期限を人事担当に確かめた
  • 休み中のお金の支えについて、調べておいた
  • できるだけ早く、上司に休みたい時期と期間を相談した
  • 担当の仕事ごとに、状況・次にやること・任せる人を一覧にした
  • 取引先に、代わりの担当者を紹介した
  • 休み中の連絡の決まりを、上司や同僚と決めた

Aさんは今、来年に予定している第二子の出産に向けて、早めに準備を始めています。妻と話し合い、生まれてすぐに産後パパ育休を2週間、そのあと妻の体調に合わせてもう一度休む予定を立てました。上司には半年前に相談し、担当の取引先ごとに引き継ぎの一覧を作って、同僚と一緒に取引先へあいさつにも行きました。休み中の連絡は、急ぎのときだけ上司から、と決めています。「前は、休むことが申し訳なかった。でも今は、準備して休むことが、家族にも職場にも誠実なことだと思える」。Aさんは、そう言ってベビーカーを押しながら、公園の出口へ歩いていきました。

※育児休業や産後パパ育休の取り方、申し出の期限、休み中の給付などの制度は、法律や会社の規程によって定められており、見直されることもあります。この記事は2026年11月時点の一般的な内容です。詳しくは勤務先の人事担当や、厚生労働省などの公的な情報で確認してください。
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安心して育休を取るには、引き継ぎのやることを期限つきで整理することと、チームで仕事の情報を共有しておくことが役立ちます。

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育休に入るまでにやることを、期限つきで一覧にできるタイプです。上司への相談、引き継ぎの一覧づくり、取引先へのあいさつなどを順番に書いておけば、準備のもれを防げます。

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まなぶまなぶ
迷惑をかけないように短く休んだのに、休み中もずっと仕事の連絡に返事をしていたなんて…。
みらいみらい
男性の育休は、家族と職場の両方と、早めに段取りを決めて臨むものです。まず家族と、いつどれくらい手が必要かを話し合いましょう。制度を確かめて早めに上司に相談し、引き継ぎの一覧と連絡の決まりを決めておくと安心です。
まなぶまなぶ
準備して休むことが、家族にも職場にも誠実なことなんですね。

男性の育休で後悔する原因は、職場への遠慮だけで期間を決め、家族とも職場とも十分に話し合わないまま、準備が足りない状態で休みに入ってしまうことです。家族と必要な時期を話し合い、制度を確かめ、早めに相談し、引き継ぎと連絡の決まりを整える。それだけで、家族との大切な時間を守りながら、職場とも気持ちよく協力できます。働き方で失敗しないための考え方は、働き方の失敗から学ぶでまとめています。

働き方については、フレックスタイムで失敗する人の特徴5選や介護と仕事の両立で失敗しない方法もあわせて読んでみてください。

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