結論

有給休暇の取り方で失敗する人の多くは、「忙しいから、落ち着いたら取ろう」と後回しにして、休む前の準備も周りへの共有もしないまま、急に休んだり、年度末にまとめて休んだりしてしまう人です。準備のないまま休むと、休み中も連絡が気になって休めず、周りにも負担がかかります。有給休暇は「空いたときに取るもの」ではなく、「先に予定を入れて、準備してから取るもの」です。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、有給休暇の取り方で失敗しない方法を解説します。

1失敗ストーリー

家族旅行の最中も、電話が鳴りやまなかったAさんの話

連休のサービスエリアのフードコートで、高校の先輩Aさんから有給休暇の取り方の失敗談を聞くまなぶのイラスト

11月の連休、まなぶは実家に帰る途中、高速道路のサービスエリアに立ち寄りました。フードコートで、隣のテーブルにいたのが、地元の高校の先輩のAさん(40代男性)でした。Aさんは、建設資材を扱う会社で、工事現場への資材の手配を担当しています。家族旅行の帰りだというAさんは、ソフトクリームを片手に、「去年の今ごろは、旅行の最中もずっと仕事の電話に出ていたんだ」と苦笑いしました。(登場する人物は、よくある失敗をもとに編集部が再現したものです)

Aさんは、毎年のように有給休暇を使いきれずに残していました。「現場が落ち着いたら取ろう」と思っているうちに、いつも年度末になってしまうのです。去年の秋、会社から「有給休暇の取得が少ない人は、計画的に取るように」と言われ、Aさんは急いで、子どもの学校の休みに合わせて3日間の家族旅行を決めました。

ところが、休みを申し出たのは、出発の1週間前。担当している現場の資材の手配を、誰にどう引き継ぐかも決めないまま、休みに入ってしまいました。旅行の初日から、Aさんのスマートフォンには、現場や同僚からの電話がひっきりなしにかかってきました。「あの資材、何時に届く予定?」「発注の数、これで合ってる?」。Aさんしか知らない情報が多すぎて、休んでいても仕事から離れられなかったのです。どの現場にどの資材をいつ届けるかは、Aさんの手帳とメモにしか書かれていませんでした。

結局、Aさんは旅館の部屋でもパソコンを開き、子どもたちと出かける予定も一つ取りやめました。休みが明けて会社に戻ると、代わりに対応してくれた同僚は、疲れた顔をしていました。「休むこと自体より、休む前の準備をしていなかったことが、いちばんの失敗だったんだよね」。Aさんは、窓の外の駐車場を眺めながら、そう話してくれました。

2原因分析

有給休暇の取り方で失敗する5つの原因

1

「落ち着いたら取ろう」と、後回しにしていた

忙しい仕事ほど、「落ち着いたら」と思っているうちに、休むタイミングを逃してしまいます。そして、年度末や会社からの声かけをきっかけに、急いで休みを入れることになります。年度の初めや月の初めに、休みたい日を先に決めて、予定として入れておくのがコツです。先に決めておけば、その日に向けて仕事を進める段取りも立てやすくなります。なお、法律では、年10日以上の有給休暇がある人は、年5日以上を取ることが会社に義務づけられています。

2

休む前の準備を、していなかった

休みの前にやっておくべきことは、意外と多いものです。休みのあいだに起きそうなこと、急ぎの仕事の進み具合、誰に何をお願いするか。休む1〜2週間前には、休み中に必要になりそうな情報を1枚にまとめ、引き受けてくれる人に渡しておくと、休み中の連絡はぐっと減ります。Aさんのように、自分しか知らない情報が多い仕事ほど、この準備が大切です。

3

周りへの共有が、遅すぎた

出発の1週間前に休みを申し出ると、周りも準備の時間がとれません。チームの予定や、ほかの人の休みと重なることもあります。休みが決まったら、できるだけ早くチームの予定表に入れて、上司と同僚に伝えておくことで、周りも仕事の段取りを組み立てやすくなります。会社によっては、休みの申請の期限が決められていることもあるので、確かめておきましょう。取引先との打ち合わせが入りやすい日を避けるなど、休む日の選び方を少し工夫するだけでも、周りの負担は小さくなります。チームの中で休みが重ならないよう、早めに調整しておくことも大切です。

4

休み中の連絡の決まりを、決めていなかった

「何かあったら連絡して」と言って休みに入ると、周りは遠慮なく連絡してきます。本当に急ぎのことだけ連絡がほしいのか、休み明けにまとめてでよいのかを、あらかじめ決めておきましょう。「急ぎの判断は○○さんに、それ以外は休み明けに」と伝えておくと、周りも迷わずに動けます。メールやチャットには、休みの期間と代わりの連絡先を書いた自動の返信を設定しておくと安心です。

5

仕事を、一人で抱えすぎていた

休みのたびに連絡が来るのは、ふだんから仕事が一人に集まりすぎているサインでもあります。Aさんも、現場ごとの資材の状況を、自分の頭の中とメモだけで管理していました。日ごろから、仕事の進み具合をチームで見られる場所に残しておけば、休みのときだけでなく、急な体調不良などのときにも、周りが代わりに動けます。休みを取ることは、仕事の抱えこみを見直すきっかけにもなります。「自分がいないと回らない」状態は、頼りにされている証拠のようでいて、チームにとっては危うい状態でもあるのです。

3図解

急に休む人と、準備してから休む人の違い

⚠ 有給休暇の取り方で失敗する人のパターン
「落ち着いたら取ろう」と、休みを後回しにする
↓
年度末や会社からの声かけで、急いで休みを入れる
↓
引き継ぎも連絡の決まりも決めずに、休みに入る
↓
休み中も電話が鳴りやまず、休めないうえに周りも疲れてしまう
◎ 有給休暇を上手に取る人のパターン
年度や月の初めに、休みたい日を先に予定に入れる
↓
1〜2週間前に、休み中に必要な情報をまとめて引き継ぐ
↓
休み中の連絡の決まりと、代わりの連絡先を伝えておく
↓
休み中はしっかり休めて、周りも落ち着いて仕事を進められる
4解決策

有給休暇の取り方で失敗しないためのチェックリスト

有給休暇は、取り方しだいで、自分にも周りにも負担の少ないものになります。休みを入れるときに、次の項目を確かめてみてください。

  • 年度や月の初めに、休みたい日を先に決めて予定に入れた
  • 休みが決まったら、すぐにチームの予定表に入れて共有した
  • 会社の休みの申請の期限や手続きを確かめた
  • 休み中に必要になりそうな情報を、1枚にまとめた
  • 誰に何をお願いするかを決めて、引き継いだ
  • 休み中の連絡の決まりと、代わりの連絡先を伝えた
  • メールやチャットに、休みの期間を知らせる自動の返信を設定した

Aさんは今、年度の初めに、家族の予定に合わせて休みたい日をいくつか決め、チームの予定表に入れるようにしています。休みの2週間前には、担当している現場ごとの資材の手配の状況を表にまとめ、同僚と一緒に確認してから休みに入ります。今年の家族旅行では、仕事の電話は一度もかかってこなかったそうです。「準備のおかげで、同僚が休むときも、自分が代わりに見られるようになった。お互いさまって、こういうことなんだね」。Aさんは、駐車場に向かう家族を追いかけながら、笑顔で手を振っていました。

※有給休暇の日数や取り方、申請の手続きは、法律や会社の就業規則で定められています。この記事は2026年10月時点の一般的な内容です。詳しくは勤務先の就業規則や人事担当に確認してください。
5おすすめサービス

仕事の失敗を減らすために

安心して休みを取るには、休む日を先に決めて段取りを立てることと、仕事の情報をチームで共有しておくことが役立ちます。

A
時間管理を効率化したい人向け

タイムマネジメント・スケジュール管理ツール【todoist】

休みの予定と、休む前にやっておくことを、期限つきで一覧にできるタイプです。引き継ぎの資料づくりや、自動の返信の設定なども「やること」として書いておけば、準備のもれを防げます。

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B
業務プロセスから見直したい人向け

業務プロセス整理・DX相談サービス【Chatwork DX相談窓口】

チームでの仕事の進み具合の共有のしかたを整理することから支援してくれるタイプです。一人に仕事が集まりすぎない仕組みをつくれば、誰かが休むときも、周りが代わりに動きやすくなります。

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まなぶまなぶ
家族旅行の最中も電話が鳴りやまなかったのは、休む前の準備をしていなかったからなんですね…。
みらいみらい
有給休暇は、空いたときに取るものではなく、先に予定を入れて、準備してから取るものです。休む1〜2週間前に情報をまとめて引き継ぎ、休み中の連絡の決まりも伝えておきましょう。
まなぶまなぶ
準備して休むことが、自分のためにも、周りのためにもなるんですね。

有給休暇の取り方で失敗する原因は、「落ち着いたら」と休みを後回しにし、引き継ぎや周りへの共有、休み中の連絡の決まりを決めないまま、急に休んでしまうことです。休みたい日を先に予定に入れ、1〜2週間前に情報をまとめて引き継ぎ、連絡の決まりを伝える。それだけで、休み中はしっかり休め、周りも落ち着いて働けます。働き方で失敗しないための考え方は、働き方の失敗から学ぶでまとめています。

働き方については、時短勤務で後悔する理由や残業を断れずに失敗した話もあわせて読んでみてください。

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