結論

上司への報告で失敗する人の多くは、「順調です」「大丈夫です」と結論のない言葉だけを伝え、上司が判断に使える事実と見通しを渡していない人です。上司が報告で知りたいのは、仕事が予定どおりに進んでいるか、止まっているならどこで止まっていて、いつ動きそうか、自分が手を貸すべきことはあるか、ということです。報告は「安心させるための言葉」ではなく「上司が次の一手を決めるための材料」です。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、上司への報告で失敗する人の特徴と、伝わる報告の型を解説します。

1失敗ストーリー

毎週「順調です」と言い続けていた話

打ち合わせから戻った上司に声をかけられ、デザイン案がまだ届いていないことを言い出せず固まるまなぶのイラスト

今年の春、まなぶは新しい販促企画の担当になりました。取引先と一緒に進めるキャンペーンで、ポスターやWebページの制作は外部の制作会社にお願いしています。毎週月曜日の定例会議では、担当者が一人ずつ、進み具合を報告することになっていました。一人あたりの持ち時間は1〜2分ほどで、ほかの人の報告も「順調です」が多かったため、まなぶもそれに合わせていました。

最初の週、まなぶは「順調です」と報告しました。2週目も「順調です。制作会社からの返事待ちです」。実は、そのころ、制作会社の担当者が体調を崩していて、デザイン案の提出が2週間近く止まっていました。けれども、まなぶは「来週には届くだろう」「わざわざ言うほどのことでもない」と考え、くわしくは話しませんでした。

3週目の木曜日、上司が取引先との打ち合わせから戻ってきて、まなぶの席に来ました。「今日、先方に『デザインは来週見せられます』と伝えてきたよ。まなぶくんが順調だと言っていたから」。まなぶは、思わず言葉に詰まりました。デザイン案は、まだ1枚も届いていなかったのです。

上司は、少し間を置いて言いました。「止まっていたなら、止まっていると言ってほしかった。2週間前に聞いていれば、制作会社に別の担当者をつけてもらうよう頼めたし、先方にも正しい見通しを伝えられた」。まなぶの「順調です」は、上司から判断の材料を奪っていたのです。

その日の夕方、まなぶは上司と一緒に制作会社へ連絡し、スケジュールを組み直しました。取引先には、上司から日程の変更をおわびすることになりました。「報告のつもりで、何も報告していなかった」。振り返れば、毎週の数分の報告が、上司と状況をそろえる唯一の機会だったのです。まなぶは、帰りの電車でつり革につかまりながら、毎週の「順調です」を思い返していました。

2原因分析

上司への報告で失敗する人の特徴5選

1

結論のない言葉で、報告を済ませている

「順調です」「大丈夫です」「進めています」といった言葉は、聞いた人を安心させますが、何がどこまで進んでいるのかは伝わりません。上司は、その言葉を信じて、ほかの人や取引先に話をします。報告は「予定どおりか、遅れているか」をまず一言で伝え、そのあとに事実を添えるのが基本です。「予定より1週間遅れています。デザイン案がまだ届いていないためです」と言えれば、上司はすぐに次の手を考えられます。

2

悪い知らせほど、後回しにしている

遅れやトラブルの報告は、気が重いものです。「もう少し様子を見てから」「解決してから報告しよう」と先延ばしにしたくなります。けれども、悪い知らせは、早いほど打てる手が多く、遅いほど選べる道が狭くなります。悪い知らせこそ、いちばん先に伝えると決めておきましょう。上司にとって困るのは、悪い知らせそのものより、それを知らされないまま動いてしまうことです。

3

事実と、自分の予想を分けていない

まなぶの「来週には届くだろう」は、事実ではなく予想でした。報告の中で事実と予想がまざると、聞く人はどこまで信じてよいか分かりません。「デザイン案はまだ届いていません(事実)。制作会社は来週と言っていますが、担当者が休んでいるので、さらに遅れるかもしれません(見通し)」のように、事実と見通しを分けて伝えると、上司も判断しやすくなります。

4

上司にしてほしいことを、伝えていない

報告の最後に「何かしてほしいことはある?」と聞かれて、初めて考える人も少なくありません。けれども、止まっている仕事を動かすには、上司の力が必要なこともあります。制作会社に担当者の交代を頼む、取引先に日程を相談するなど、上司だからこそできることもあります。報告の最後に「お願いしたいこと」を一つ添えると、報告がそのまま次の行動につながります。

5

報告のタイミングを、決まった場だけにしている

週に一度の定例会議だけで報告していると、そのあいだに起きた変化を伝えるのが遅れます。大きな変化や、上司が外の人に話すかもしれないことは、定例を待たずに、その日のうちに一言伝えることが大切です。「定例でまとめて話そう」は、相手の予定によっては手遅れになることもあります。報告は、仕事の進み具合に合わせて、自分から届けにいくものです。チャットで「定例の前に一点だけご報告です」と一言送るだけでも十分です。

3図解

「順調です」で済ませる人と、判断の材料を渡す人の違い

⚠ 上司への報告で失敗する人のパターン
毎回「順調です」「大丈夫です」とだけ伝える
↓
遅れや止まっていることは、解決してから話そうと思う
↓
事実と予想がまざり、上司は状況を正しく知らないまま動く
↓
上司が外に誤った見通しを伝えてしまい、取り返す手間が増える
◎ 上司への報告が上手な人のパターン
「予定どおりか、遅れているか」をまず一言で伝える
↓
事実と見通しを分けて、理由を短く添える
↓
上司にお願いしたいことを、一つ添える
↓
上司がすぐに次の手を打てて、仕事が止まらずに進む
4解決策

上司への報告で失敗しないためのチェックリスト

報告の型は、覚えてしまえば毎回の報告が短く、分かりやすくなります。次の項目を、報告の前に頭の中で確かめてみてください。

  • 最初の一言で、「予定どおり」か「遅れている」かを伝えている
  • 遅れや止まっていることを、解決する前に伝えている
  • 事実と、自分の予想や見通しを分けて話している
  • 遅れている理由と、いつごろ動きそうかを短く添えている
  • 上司にお願いしたいことがあれば、最後に一つ伝えている
  • 大きな変化は、定例を待たずにその日のうちに伝えている

まなぶは今、定例会議での報告を「予定どおり/遅れ」「事実」「見通し」「お願い」の4つの順番で話すようにしています。たとえば「1週間遅れています。デザイン案の初稿が届いていません。来週水曜には届く見込みですが、念のため制作会社の上司の方に状況を確認していただけますか」。最初は堅苦しく感じましたが、上司からは「まなぶくんの報告は、聞いたらすぐ動けるようになった」と言われたそうです。

報告の型が身についてくると、悪い知らせを伝えるときの気の重さも、少しずつ軽くなっていきました。「どう伝えるか」が決まっていれば、迷う時間が減るからです。悪い知らせの報告は、ミスに気づいたときの報告とも同じで、「早く・短く・事実から」が合言葉です。

※報告のしかたやタイミングは、上司や職場の文化によって好みが分かれることもあります。報告の形に迷ったときは、上司に「どのくらいの頻度で、どんな形で報告すると助かりますか」と一度聞いてみるのもおすすめです。
5おすすめサービス

仕事の失敗を減らすために

報告をこまめに、正確に届けるには、仕事の進み具合を自分でも見える化しておくことと、チームの連絡の仕組みを整えることが役立ちます。

A
時間管理を効率化したい人向け

タイムマネジメント・スケジュール管理ツール【todoist】

仕事のやることと期限を一覧にできるタイプです。返事待ちの仕事や止まっている仕事にも印をつけておけば、報告のときに「どこで止まっているか」をすぐに説明できます。報告の予定そのものを書き込んでおくと、伝え忘れも防げます。

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B
業務プロセスから見直したい人向け

業務プロセス整理・DX相談サービス【Chatwork DX相談窓口】

仕事の流れそのものを整理することから支援してくれるタイプです。チームの報告の頻度や形、進み具合の共有のしかたを見直すきっかけになります。定例会議だけに頼らない情報共有の仕組みを考えるときに役立ちます。

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まなぶまなぶ
毎週「順調です」と言っていたら、上司がその言葉を信じて、取引先に違う見通しを伝えてしまいました…。
みらいみらい
報告は、安心させる言葉ではなく、上司が次の一手を決めるための材料です。「予定どおりか遅れか」「事実」「見通し」「お願い」の順で伝えてみましょう。悪い知らせほど、先に伝えるのがコツです。
まなぶまなぶ
「順調です」の一言が、上司から判断の材料を奪っていたんですね。

上司への報告で失敗する原因は、結論のない言葉で報告を済ませ、悪い知らせを後回しにし、事実と予想を分けずに伝えてしまうことです。まず予定どおりか遅れているかを伝え、事実と見通しを分け、お願いしたいことを添える。それだけで、報告は上司と一緒に仕事を前に進める道具になります。報連相とコミュニケーションで失敗しないための考え方は、報連相とコミュニケーションの失敗から学ぶでまとめています。

報連相・コミュニケーションについては、仕事の相談をためらって後悔する理由や会議で発言できずに失敗した話もあわせて読んでみてください。

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