結論

ダブルチェックを人任せにして失敗する人の多くは、「ほかの人に見てもらったから大丈夫」と安心して、自分での確認と、確認してほしい範囲を伝えることをやめてしまう人です。確認する人は、頼まれた範囲しか見ていないことがほとんどです。作った人と確かめる人がお互いに「相手が見ているはず」と思っていると、ダブルチェックは一人も見ていないのと同じになります。ダブルチェックは「誰かに任せる仕組み」ではなく「見る範囲を分け合う仕組み」です。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、ダブルチェックを人任せにして失敗した原因と、確認を確実にするコツを解説します。

1失敗ストーリー

先輩に見てもらった告知資料で、価格がまちがっていた話

月曜の朝、内線電話で告知資料の料金の誤りを知らされ、資料を手に青ざめるまなぶのイラスト

今年の夏、まなぶは、会社が取引先向けに始める新しいサービスの告知資料を任されました。サービスの内容、料金のプラン、申し込みの流れを1枚にまとめ、取引先へのメールで一斉に案内する予定です。締め切りは金曜日の午後。木曜日の夜、ようやく形になった資料を見て、まなぶはほっとしました。デザインにもこだわり、料金のプランは表にして見やすくまとめていました。

金曜日の朝、まなぶは隣の席の先輩に声をかけました。「告知資料、ダブルチェックをお願いできますか」。先輩は「いいよ」と引き受けてくれ、30分ほどで「見やすくまとまってるね。ここの見出しだけ大きくしたら?」と返してくれました。まなぶは見出しを直し、「先輩に見てもらったから安心だ」と、そのまま資料を一斉メールで送りました。

月曜日の朝、営業部から内線がかかってきました。「告知資料の月額料金、新しいプランの金額になっていないよ。取引先から『案内の金額と見積もりが違う』って問い合わせが来てる」。まなぶは慌てて資料を開きました。料金表の一部が、社内で検討していた前の案の金額のままだったのです。

まなぶが先輩に「確認をお願いしたはずなのに…」と言いかけると、先輩は申し訳なさそうに言いました。「ごめん、見やすさを見てほしいんだと思って、レイアウトと文章を中心に見てた。料金は、まなぶくんが確定版で作っているものだと思ってたんだ」。まなぶは料金を先輩が見てくれていると思い、先輩は料金はまなぶが確かめていると思っていたのです。

まなぶは上司に報告し、その日のうちに訂正のお知らせを取引先へ送りました。営業部の人たちには、問い合わせへの対応で手間をかけさせてしまいました。「確認をお願いしたのに、何を見てほしいかを、一言も言っていなかった」。まなぶは、訂正のメールを送り終えた会議室で、しばらく画面を見つめていました。

2原因分析

ダブルチェックを人任せにして失敗した5つの原因

1

何を確認してほしいかを、伝えていなかった

「ダブルチェックをお願いします」とだけ頼むと、確認する人は、自分の得意なところや目につくところを中心に見ます。まなぶの先輩も、見やすさを見てほしいのだと受け取っていました。「ざっと見て」「念のため見て」といったあいまいな頼み方ほど、確認の範囲は人によってばらばらになります。「料金と日付と連絡先を、確定版と照らし合わせて見てほしい」のように、見てほしい範囲と、照らし合わせる元の資料を具体的に伝えることが大切です。

2

人に見てもらったことで、自分の確認をやめた

人に確認を頼むと、それだけで安心してしまい、自分では最後の見直しをしなくなりがちです。けれども、資料を作った本人がいちばん、どこに古い情報が残っていそうかを知っています。ダブルチェックは、自分の確認を省くためではなく、自分の確認に重ねるためのものです。自分で見るときは、画面ではなく印刷して読む、声に出して数字を読み上げるなど、見方を変えると見落としに気づきやすくなります。人に頼む前に、まず自分で一度確かめましょう。

3

元になる情報を、一つにそろえていなかった

料金のように何度も検討が重ねられた情報は、前の案と新しい案が、いろいろなファイルやメールに散らばっています。まなぶも、前の案の料金表をそのまま貼りつけていました。確認する人も、どれが正しい金額なのか分からなければ、照らし合わせようがありません。「この数字は、この資料を正とする」という元の資料を決めておくと、作る人も確かめる人も迷わなくなります。

4

締め切り直前に、確認を頼んだ

まなぶが先輩に確認を頼んだのは、送る日の朝でした。時間がない中で頼まれると、確認する人も、ざっと見ることしかできません。確認の時間を、段取りの中に最初から入れておくことが、ていねいな確認につながります。頼む相手の予定も考えて、余裕をもってお願いしましょう。

5

送ったあとのことを、考えていなかった

一斉メールのように、一度送ると取り消せないものは、ミスがあったときの影響が大きくなります。送る前に「誰に、どのくらいの人数に届くか」「まちがっていたら、どう訂正するか」を考えておくと、確認の重さも変わります。重要な案内は、上司にも最終の確認をお願いするなど、確認する人を増やす判断も必要です。送る前に、一度だけ自分あてにテストで送り、受け取る側の目線で読み直してみるのも効果的です。

3図解

確認を任せきりにする人と、見る範囲を分け合う人の違い

⚠ ダブルチェックを人任せにして失敗する人のパターン
締め切り直前に「ダブルチェックをお願いします」とだけ頼む
↓
確認する人は、自分が気になるところだけを見る
↓
「見てもらったから大丈夫」と、自分では見直さずに送る
↓
お互いに「相手が見ているはず」と思い、誰も見ていなかった部分でミスが起きる
◎ ダブルチェックを確実にする人のパターン
元になる正しい資料を決め、まず自分で確かめる
↓
確認してほしい範囲と、照らし合わせる資料を伝える
↓
確認の時間を、段取りの中に最初から入れておく
↓
作る人と確かめる人が見る範囲を分け合い、ミスを確実に防げる
4解決策

ダブルチェックで失敗しないためのチェックリスト

ダブルチェックは、頼み方ひとつで、確かさが大きく変わります。確認をお願いする前に、次の項目を確かめてみてください。

  • 数字や日付などは、「この資料が正しい」という元の資料を決めた
  • 人に頼む前に、自分で一度、元の資料と照らし合わせた
  • 確認してほしい範囲(料金・日付・連絡先など)を、具体的に伝えた
  • 照らし合わせる元の資料も、一緒に渡した
  • 確認の時間を、締め切りの前日までに取れるように段取りした
  • 一斉に送るものや取り消せないものは、確認する人を増やすか検討した
  • 確認が終わったら、何を見てもらったかを一言で記録した

まなぶは今、確認を頼むときに、短いメモを添えるようにしています。メモは、確認を頼むメールやチャットの最初に、定型文として入れているそうです。「料金表を、料金の確定版の資料と照らし合わせてください。レイアウトは見なくて大丈夫です」。先輩からは「何を見ればいいか分かるから、確認がずっと早くなった」と言われたそうです。チームでも、取引先に送る資料は「元の資料」と「確認した人・範囲」を資料の最後に書き添えるルールができました。

「人に見てもらうことは、自分で見なくていい理由にはならない」。まなぶは、送る前の最後の見直しを、自分の仕事の一部として続けています。

※確認の手順や、誰が最終的に確認するかは、会社や部署のルールによって異なります。お金や契約に関わる資料は、会社で決められた確認の手順に従ってください。
5おすすめサービス

仕事の失敗を減らすために

確認のもれを防ぐには、仕事の流れそのものを見直したり、資料づくりの基本を学び直したりすることも役立ちます。

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業務プロセスから見直したい人向け

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仕事の流れそのものを整理することから支援してくれるタイプです。誰がどこを確認するのか、元の資料をどこに置くのかといった、チームの確認の仕組みを見直すきっかけになります。

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資料づくりや表計算ソフトの使い方など、仕事で使うパソコンの操作を基礎から学べるタイプです。数字を自動で計算・参照する仕組みを作れるようになると、手作業での貼りつけによるミスを減らせます。

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まなぶまなぶ
先輩にダブルチェックをお願いしたのに、何を見てほしいかを伝えていなくて、料金のまちがいがそのまま取引先に届いてしまいました…。
みらいみらい
ダブルチェックは、任せる仕組みではなく、見る範囲を分け合う仕組みです。元の資料を決めて、まず自分で確かめ、見てほしい範囲を具体的に伝えましょう。
まなぶまなぶ
確認をお願いするときこそ、伝え方が大事なんですね。

ダブルチェックを人任せにして失敗する原因は、確認してほしい範囲を伝えず、人に見てもらったことで安心して、自分の確認をやめてしまうことです。元になる資料を決め、自分で確かめてから、範囲と照らし合わせる資料を伝えて頼む。それだけで、ダブルチェックは本当にミスを防ぐ仕組みになります。仕事の進め方とミスへの対応で失敗しないための考え方は、仕事の進め方とミス対応の失敗から学ぶでまとめています。

仕事の進め方・ミス対応については、仕事のミスを隠して後悔する理由や仕事の段取りで失敗しない方法もあわせて読んでみてください。

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