仕事の段取りで失敗しない方法
仕事の段取りで失敗する人の多くは、「締め切りまでまだ時間がある」と考えて、やることの洗い出しと、人に頼む部分の段取りを後回しにしてしまう人です。仕事の遅れの多くは、自分の作業の遅さではなく、人の返事や業者の手配など「待つ時間」を読み違えることから起きます。段取りは、締め切りから逆算して「人に頼むこと」から先に動かすのがコツです。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、仕事の段取りで失敗しない方法を解説します。
「まだ2か月ある」と思っていた、記念式典の準備の話
ある日の打ち合わせのあと、まなぶは、長く取引のある会社の担当者のAさん(40代男性)と、会議室の片づけをしながら話していました。Aさんは食品メーカーの総務部で、社内の行事や備品の管理を担当しています。「この春、会社の創立記念の式典を任されたんだけど、段取りで大失敗してね」。Aさんは苦笑いしながら話し始めました。(登場する人物は、よくある失敗をもとに編集部が再現したものです)
式典の担当に決まったのは、本番の2か月前でした。会場の予約、来賓への案内状、記念品の発注、社員向けの出欠の確認、当日の進行表づくり。やることは多いものの、Aさんは「2か月もあれば大丈夫。ふだんの仕事が落ち着いてから取りかかろう」と考え、まずは目の前の仕事を片づけることにしました。ちょうど年度末で、備品の発注や社内の手続きも重なっていた時期でした。
本格的に動き始めたのは、本番の1か月前です。ところが、会場に問い合わせると、希望していた広い部屋はすでに埋まっていました。記念品は、名入れをするなら注文から3週間かかると言われ、デザインの確認を急ぐことに。来賓への案内状は、社長の確認と署名が必要でしたが、社長は出張続きで、戻るのは2週間後でした。
自分の作業は1日で終わることばかりなのに、人の返事を待っているあいだに、日にちだけがどんどん過ぎていったのです。最後の2週間は、毎晩遅くまで残業して、なんとか本番に間に合わせました。式典は無事に終わりましたが、案内状が届くのが遅れた来賓からは、「もう少し早く知らせてほしかった」と言われてしまいました。
「やることを全部書き出して、人に頼むものから先に動いていれば、こんなことにはならなかった」。Aさんは、片づけたホワイトボードのペンをケースに戻しながら、そう話してくれました。
仕事の段取りで失敗する5つの原因
やることを、最初に全部書き出していなかった
大きな仕事を任されたとき、頭の中だけで「だいたいこのくらい」と考えていると、細かい作業や確認のもれに気づけません。Aさんも、名入れの確認や社長の署名といった作業を、動き始めてから知りました。任されたその日に、思いつくやることを全部書き出し、それぞれ「誰の確認が必要か」を書き添えると、仕事の全体が見えてきます。書き出すときは、「誰に」「何を」「いつまでに」の3つをそろえて書くと、あとで見返したときにも迷いません。
「待つ時間」を、計算に入れていなかった
仕事にかかる時間には、自分が手を動かす時間のほかに、人の返事を待つ時間、業者が作る時間、確認して直す時間があります。Aさんの式典の準備も、自分の作業より、待つ時間のほうがずっと長かったのです。段取りを考えるときは、「自分の作業」と「待つ時間」を分けて見積もることが大切です。待つ時間が長いものほど、早く動かしましょう。
人に頼むことを、後回しにした
自分だけでできる作業は、あとからでも取り返せます。けれども、人に頼むことは、相手の予定に左右されるため、後回しにするほど遅れが出やすくなります。とくに、社長や部長など忙しい人の確認や、外部の業者への発注は、思っている以上に時間がかかるものです。まずは人に頼むことから、先にお願いの連絡を入れておくのが段取りの基本です。会場や業者の予約、上の人の確認や承認は、仕事を任された最初の週に動かしておくと安心です。
締め切りから、逆算していなかった
「2か月ある」という見方は、本番の日から今日を見たものです。段取りでは逆に、本番の日から「いつまでに何が終わっていなければならないか」をさかのぼって決めていきます。案内状は1か月前に届いている必要がある、そのためには社長の確認はさらに1週間前、というように、締め切りから順にさかのぼって、それぞれの期限を決めると、本当に動き始めるべき日が分かります。
途中で、進み具合を確かめていなかった
段取りを立てても、そのとおりに進むとは限りません。返事が遅れたり、予定が変わったりすることもあります。週に一度、やることの一覧を見直して、遅れているものがないか確かめるだけで、早めに手を打てます。見直すときは、「今週中に誰かに連絡すべきことは残っていないか」を最初に確かめるのがコツです。遅れそうなときは、上司や関係する人に早めに相談しましょう。一人で抱え込まないことも、段取りの一部です。
後回しにする人と、逆算して段取りする人の違い
仕事の段取りで失敗しないためのチェックリスト
段取りは、仕事を任された最初の日にどれだけ準備できるかで決まります。大きな仕事を任されたら、次の項目を順番に確かめてみてください。
- 任された日に、やることを全部書き出した
- それぞれのやることに、「誰の確認や返事が必要か」を書き添えた
- 自分の作業の時間と、待つ時間を分けて見積もった
- 締め切りから逆算して、それぞれの期限を決めた
- 人に頼むことや予約が必要なものから、先に連絡した
- 週に一度、やることの一覧を見直す時間を決めた
- 遅れそうなときは、早めに上司や関係する人に相談すると決めた
Aさんは今、新しい仕事を任されると、その日のうちに「やること」「頼む相手」「待つ時間」「期限」の4つの列がある表を作るようにしています。最初に動かすのは、いつも「頼む相手」の列に名前が入っているものからです。表はチームの共有フォルダに置き、上司もいつでも進み具合を見られるようにしました。次の年の式典では、会場も記念品も2か月前にはそろい、最後の週は当日の進行の練習に時間を使えたそうです。「段取りって、結局は『人の時間』をどう組み立てるかなんだよね」と、Aさんは話していました。
まなぶも話を聞きながら、自分の仕事の進め方を思い出しました。資料づくりでも、上司の確認や取引先の返事を待つ時間を、いつも少なく見積もっていたからです。
仕事の失敗を減らすために
段取りを立てて進み具合を確かめるには、やることを見える化する道具や、仕事の流れを見直す相談先が役立ちます。
タイムマネジメント・スケジュール管理ツール【todoist】
やることと期限を一覧にして、締め切りから逆算した段取りを組み立てやすくするタイプです。人に頼むことや待っている返事も書き込んでおけば、どこで止まっているかがひと目で分かり、早めに手を打てます。
業務プロセス整理・DX相談サービス【Chatwork DX相談窓口】
仕事の流れそのものを整理することから支援してくれるタイプです。毎年くり返す行事や、関わる人が多い仕事の段取りを、チームで共有できる形に整えるきっかけになります。
まなぶ
みらい
まなぶ仕事の段取りで失敗する原因は、まだ時間があると考えてやることの洗い出しを後回しにし、人の返事や手配を待つ時間を計算に入れないことです。任された日にやることを書き出し、待つ時間を分けて見積もり、締め切りから逆算して、人に頼むことから先に動かす。それだけで、大きな仕事も余裕をもって進められます。仕事の進め方とミスへの対応で失敗しないための考え方は、仕事の進め方とミス対応の失敗から学ぶでまとめています。
仕事の進め方・ミス対応については、仕事のミスを隠して後悔する理由やダブルチェックを人任せにして失敗した話もあわせて読んでみてください。

