結論

職務経歴書の実績を盛って後悔する人の多くは、チーム全体の成果を自分一人の成果のように書いたり、数字を大きく見せたりして、書類選考を通ろうとする人です。盛った実績は、面接の深掘りで説明に詰まったり、入社してから「その実績にふさわしい成果」を求められたりして、自分を苦しめます。リファレンスチェックで食い違いが見つかれば、内定に響くこともあります。実績は「大きく見せる」より「自分の役割を正確に見せる」ほうが、ずっと強い武器になります。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、職務経歴書の実績を盛って後悔する理由と、正直に伝わる書き方を解説します。

1失敗ストーリー

「売上150%」を自分の実績として書いた、Aさんの話

夕方のエレベーターホールで、中途入社のAさんから職務経歴書の失敗談を聞き、驚くまなぶのイラスト

今年の春、まなぶの会社に、別の部署へ中途入社してきたAさん(30代女性)がいました。夕方、エレベーターホールで一緒になったとき、Aさんは「入社して半年、ずっと苦しかったんです」と話してくれました。Aさんは前の会社で、人材派遣会社の法人営業をしていました。(登場する人物は、よくある失敗をもとに編集部が再現したものです)

転職活動を始めたとき、Aさんは職務経歴書に「担当エリアの売上を前年比150%に伸ばした」と書きました。たしかに、Aさんのいたチームの売上は1.5倍になりました。けれども、それは5人のチームで新しいサービスを始めた結果で、Aさんが担当したのは、その中の一部の顧客でした。「チームの数字だけど、私も頑張ったし、少しくらい大きく書いても…」。そう考えたのです。

書類選考は、驚くほど通りました。ところが、面接で「150%を達成するために、Aさんご自身は何をされましたか?」と聞かれるたびに、答えは歯切れの悪いものになりました。それでも何社かの面接を乗り切り、今の会社から内定をもらうことができました。

本当の苦しさは、入社してから始まりました。上司は、Aさんの「150%」の実績に期待して、いきなり新しいエリアの立ち上げを、一人で任せたのです。前の会社では、立ち上げの計画づくりはチームのリーダーが担っていました。Aさんは何から手をつければよいか分からず、最初の3か月は数字がほとんど動きませんでした。

「期待していた動きと違う」。面談でそう言われたとき、Aさんは思い切って、前の会社での自分の本当の役割を上司に説明しました。上司は驚きながらも、先輩と組んで仕事を進める形に変えてくれました。「最初から正直に書いていれば、最初から合った仕事を任せてもらえたんですよね」。エレベーターの扉が開くのを待ちながら、Aさんは苦笑いしました。

2原因分析

職務経歴書の実績を盛って後悔する理由

1

チームの成果と、自分の役割を分けて書かなかった

職務経歴書で大切なのは、成果の大きさよりも、その成果の中で自分が何をしたかです。チームの数字を書くこと自体は問題ありません。ただし、「チームの成果」と「自分の役割」を分けて書く必要があります。たとえば「5人のチームで売上前年比150%。私は既存顧客20社の提案を担当し、うち8社で取引を拡大」と書けば、規模も役割も正確に伝わります。数字は「誰の」「どの範囲の」成果なのかがはっきりしてこそ、評価の材料になります。

2

面接の深掘りに、答えられなくなった

面接官は、職務経歴書に書かれた実績について、「なぜ」「どうやって」「あなたは何を」と深く質問してきます。盛った実績ほど、具体的な行動やエピソードが出てきません。書類で目を引いても、面接で説明できなければ、かえって信頼を失うことになります。深掘りの質問への備え方は、面接の深掘り質問で失敗しない方法でも紹介しています。

3

入社後の期待と、本当の力がずれてしまった

会社は、職務経歴書と面接の内容をもとに、入社後に任せる仕事を考えます。実績を盛って入社すると、その実績にふさわしい役割や目標が最初から与えられます。Aさんのように、経験のない仕事を一人で任されれば、力を発揮する前に苦しくなってしまいます。正直な実績は、自分に合った仕事を任せてもらうための情報でもあるのです。Aさんも、もし最初から「立ち上げの計画づくりは未経験」と伝えていれば、入社後の最初の数か月は、経験のある先輩と組む形から始められていたはずです。

4

経歴の確認で、食い違いが見つかることがある

最近は、前の職場の上司や同僚に話を聞く「リファレンスチェック」を行う会社も増えています。本人の同意を得て行うのが一般的ですが、ここで書類の内容と食い違いが見つかれば、内定に影響することがあります。在籍期間や役職、担当した仕事の範囲など、確かめられて困ることは、最初から書かないのが鉄則です。事実と違う内容を書くことは、経歴詐称と受け取られるおそれもあります。

5

「盛らないと通らない」と思い込んでいた

Aさんが実績を大きく書いたのは、「正直に書いたら書類選考に通らない」という不安からでした。けれども、書類選考で見られているのは、数字の大きさだけではありません。どんな課題に、どう考えて取り組み、何を学んだかが伝われば、規模の小さな実績でも十分に評価されます。たとえば「担当顧客の解約が続いていたため、訪問の回数と提案の内容を見直し、半年で解約を3件から1件に減らした」のように、自分の行動と変化が具体的に書かれていれば、面接官はあなたの働き方を思い浮かべることができます。職務経歴書の基本的な書き方は、職務経歴書で失敗しない方法で紹介しています。

3図解

実績を盛る人と、役割を正確に書く人の違い

⚠ 職務経歴書の実績を盛って後悔する人のパターン
チームの成果を、自分の実績として大きく書く
↓
書類は通るが、面接の深掘りで答えに詰まる
↓
盛った実績に合わせた役割を、入社後に任される
↓
期待とのずれに苦しみ、信頼を取り戻すのに時間がかかる
◎ 実績を正しく伝える人のパターン
チームの成果と、自分の役割を分けて書き出す
↓
自分がとった行動と、その結果を具体的な数字で書く
↓
面接では、工夫したことや学んだことを自分の言葉で話す
↓
自分に合った仕事を任され、入社後すぐに力を発揮できる
4解決策

職務経歴書の実績を正しく伝えるためのチェックリスト

実績を正直に書くことは、自分を小さく見せることではありません。職務経歴書を仕上げる前に、次の項目を確かめてみてください。

  • チーム全体の成果と、自分の役割を分けて書いた
  • 自分がとった行動と、その結果を、具体的な数字で書いた
  • 書いた実績のすべてについて、「なぜ」「どうやって」に答えられる
  • 在籍期間・役職・担当範囲が、事実どおりになっている
  • 前の上司や同僚に聞かれても、食い違わない内容になっている
  • 数字の大きさだけでなく、工夫したことや学んだことも書いた

Aさんは今、先輩と一緒に新しいエリアの営業を進めながら、少しずつ自分の担当顧客を増やしています。「次に職務経歴書を書くときは、チームの成果と私の役割を、2行に分けて書きます」。小さくても自分の手で積み上げた実績のほうが、面接でも入社後でも、ずっと自信を持って話せると気づいたそうです。まなぶも話を聞きながら、自分の職務経歴書を思い出し、チームでの成果をどう書いていたか、家に帰ってから読み直しました。応募書類の基本的な整え方は、履歴書で失敗する人の特徴5選もあわせて確認しておくと安心です。

※経歴の確認やリファレンスチェックを行うかどうか、どのように行うかは会社によって異なります。応募書類には、事実に基づいた内容を書くようにしてください。
5おすすめサービス

書類と面接で後悔しないために

自分の実績を正しく、魅力的に伝えるには、第三者の目で経験を整理してもらうのが近道です。

C
自分の市場価値やキャリアの方向性を客観視したい人向け

市場価値から本当のキャリアパスを見出すサービス【ミイダス】

第三者視点で、自分の強みや適性、これまでのキャリアの棚卸しを手伝ってもらえるタイプです。実績を大きく見せなくても、自分の経験が市場でどう評価されるのかを知ることで、正直に書く自信につながります。

診断してみる

B
キャリアを整理してから動きたい人向け

年収1000万円以上の転職なら【プロフェッショナル転職サービス/ランスタッド】

これまでの経験や実績を、第三者と一緒に言語化していけるタイプです。チームの成果の中で自分が果たした役割を整理し、職務経歴書にどう書けばよいかを一緒に考えてもらえます。

相談してみる

まなぶまなぶ
チームの実績を自分のものとして書いたら、入社してからその分の期待がのしかかってきたなんて…。
みらいみらい
職務経歴書では、チームの成果と自分の役割を分けて書きましょう。自分がとった行動と結果を具体的に書けば、規模が小さくても十分に伝わります。正直な実績は、自分に合った仕事を任せてもらうための情報でもありますよ。
まなぶまなぶ
大きく見せるより、正確に見せるほうが、結局は自分を助けてくれるんですね。

職務経歴書の実績を盛って後悔する原因は、書類選考を通るためにチームの成果を自分のものとして書き、面接の深掘りや入社後の期待、経歴の確認で食い違いが出てしまうことです。チームの成果と自分の役割を分け、行動と結果を具体的に書き、すべての実績を自分の言葉で説明できるようにする。それだけで、書類も面接も入社後も、自信を持って進められます。書類選考や面接で失敗しないための考え方は、書類選考・面接の失敗から学ぶでまとめています。

書類・面接については、面接で他社の選考状況を聞かれて後悔する理由やリファレンスチェックで失敗した話もあわせて読んでみてください。

ABOUT ME
アバター
みらい
みんなの失敗談を共有して、たくさんの学びや共感をお届けするメディア「https://SHIPPAI.JP」を運営しています