繁忙期に退職を伝えて後悔する理由
繁忙期に退職を伝えて後悔する人の多くは、転職先の入社日を先に決めてしまい、今の職場がいちばん忙しい時期に、準備のないまま退職を切り出してしまう人です。退職は働く人の権利で、繁忙期だからといって辞められないわけではありません。けれども、引き継ぎの計画がないまま伝えると、引き止めや退職日の先延ばしにつながり、転職先にも迷惑をかけることがあります。退職を伝える時期は、今の職場の1年の流れから逆算するのがポイントです。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、繁忙期に退職を伝えて後悔する理由と、上手な進め方を解説します。
決算の準備がピークの2月に、退職を切り出したAさんの話
冬のある夜、まなぶは妹の誕生日の食事会に参加しました。食事会のあと、駅のホームで電車を待っていると、妹の高校時代からの友人のAさん(30代女性)が、「実は、今年の春の転職で大失敗したんです」と話しかけてきました。Aさんは、メーカーの経理部で8年働いたあと、同じ経理の仕事で別の会社へ移りました。(登場する人物は、よくある失敗をもとに編集部が再現したものです)
Aさんが内定をもらったのは、1月の半ばでした。「4月1日から来てもらえますか」と聞かれ、Aさんは迷わず「大丈夫です」と答えました。ところが、Aさんの会社は3月が決算です。1月から3月は、経理部にとって1年でいちばん忙しい時期でした。
Aさんが上司に退職を切り出したのは、2月の初め。決算の準備で、部署の全員が毎晩遅くまで残っていた時期です。会議室で話を聞いた上司は、しばらく黙ったあと、「気持ちは分かった。でも、決算が終わるまでは無理だ。せめて5月の決算の発表まではいてほしい」と言いました。引き継ぐ相手もまだ決まっていません。引き継ぎの計画を何も用意していなかったAさんは、言い返すことができませんでした。
結局、Aさんは転職先に頭を下げ、入社日を5月の連休明けまで延ばしてもらうことになりました。最後の3か月は、決算の仕事に加えて、急いで決まった後任への引き継ぎも重なり、毎晩の残業が続きました。残っていた有給は、ほとんど使えないまま。部署の空気も、どこか気まずいものになっていました。
「退職を伝えること自体は、間違っていなかったと思う。でも、伝える時期と準備を、何も考えていなかった」。ホームに電車が入ってくる音にかき消されそうな声で、Aさんは「入社日を答える前に、自分の会社のカレンダーを思い出すべきだったんですよね」と笑いました。
繁忙期に退職を伝えて後悔する理由
今の職場の繁忙期を考えずに、入社日を決めた
Aさんの一番の失敗は、内定先に入社日を聞かれたときに、今の職場の1年の流れを考えずに即答したことでした。決算や年度末、繁忙シーズンなど、どの職場にも忙しい時期があります。入社日を答える前に、「今の職場で、その時期に何が起きているか」を思い出すことが大切です。入社日は、内定先と相談して調整できる場合も多いので、即答せずに「確認してお返事します」と伝えてかまいません。
引き継ぎの計画を、用意していなかった
上司が退職を受け入れにくいのは、「この時期に抜けられたら仕事が回らない」と感じるからです。担当している仕事の一覧と、誰にいつまでに何を引き継ぐかの案を持って話すと、上司も具体的に考えやすくなります。引き継ぎの準備が足りないまま辞めたときに起きやすいことは、引き継ぎ不足のまま転職して失敗した話でも紹介しています。
退職の意思と希望日を、はっきり伝えなかった
「辞めたいと思っていて…」と相談のような形で切り出すと、引き止めや先延ばしの話になりやすくなります。期間の定めのない雇用であれば、法律上は退職を申し出てから2週間で辞められるとされていますが、就業規則で「1か月前まで」などと決めている会社も多く、円満に辞めるには1〜2か月ほど前に伝えるのが一般的です。「退職したいと考えています。退職日は○月○日を希望しています」と、意思と日付をセットで伝えることで、話し合いがその先に進みます。
繁忙期の前に伝える、という選択肢を考えなかった
繁忙期に退職を伝えると、上司や同僚に余裕がなく、話し合いそのものが進みにくくなります。Aさんの場合、内定が出たのは1月の半ばでした。その時点ですぐに伝えていれば、決算の準備が本格化する前に、後任や引き継ぎの段取りを一緒に考えてもらえたかもしれません。「繁忙期が終わってから」か「繁忙期が始まる前に」のどちらかで伝えられるよう、転職活動の時期そのものを逆算しておくと安心です。
転職先との調整を、後回しにした
退職日が延びそうだと分かったら、すぐに転職先に連絡し、事情を伝えて相談することが大切です。連絡が遅れるほど、転職先の受け入れの準備にも影響が出ます。Aさんは、上司との話し合いが長引くあいだ、転職先への連絡をためらってしまいました。引き止めに応じて残ってしまうと、別の後悔も生まれます。そのことは、引き止めに応じて残留し後悔する理由で紹介しています。
繁忙期に慌てて伝える人と、1年の流れから逆算する人の違い
繁忙期に退職を伝えて後悔しないためのチェックリスト
退職を伝える時期は、転職活動を始める段階から考えておくのが理想です。次の項目を確かめてから、上司に話す日を決めましょう。
- 今の職場の1年の流れと、繁忙期を書き出した
- 内定先に入社日を聞かれたら、即答せず「確認してお返事します」と伝えることにした
- 就業規則で、退職を申し出る期限(〇か月前など)を確かめた
- 担当している仕事の一覧と、引き継ぎの案をつくった
- 繁忙期の前か後に伝えられるよう、話す日を決めた
- 退職の意思と希望日を、セットで伝える準備をした
- 退職日が延びそうなときは、すぐに転職先へ相談すると決めた
Aさんは今、新しい職場の経理部で、来年の決算の準備を進めています。「次にもし転職するなら、内定をもらう時期から逆算して、決算の前に伝えます」と話していました。いっしょに働いていた後任の人とは今も連絡を取り合い、困ったときには相談に乗っているそうです。最後の数か月は大変でしたが、引き継ぎを丁寧に終えたことで、前の上司とも今は年賀状をやりとりする関係に戻れました。入社日の調整のしかたは、入社日の調整で失敗する人の特徴5選もあわせて確認してみてください。
転職を最後まで丁寧に進めるために
退職の時期や入社日の調整は、経験のある相談相手と一緒に考えると、無理のない計画を立てやすくなります。
転職エージェント【ワークポート】
退職の伝え方や引き止めへの対応まで、事前にアドバイスをもらえるタイプです。転職先が決まっている場合、入社日との調整も含めて相談できます。繁忙期にかかりそうなときの伝え方についても、過去の事例をもとにアドバイスが期待できます。
年収以外にもこだわるハイクラス転職【LHH転職エージェント】
30代以降の転職に強く、専門性や経験を評価してくれる求人を紹介してくれるタイプです。経理のように時期によって忙しさが大きく変わる仕事でも、入社時期の考え方を含めて相談しながら進められます。
まなぶ
みらい
まなぶ繁忙期に退職を伝えて後悔する原因は、今の職場の繁忙期を考えずに入社日を決め、引き継ぎの準備もないまま、いちばん忙しい時期に退職を切り出してしまうことです。1年の流れを書き出し、入社日を相談し、仕事の一覧と引き継ぎの案を持って、意思と希望日をはっきり伝える。それだけで、退職の話し合いはずっとスムーズになります。内定から退職までの流れで失敗しないための考え方は、内定から退職までの失敗から学ぶでまとめています。
内定・退職手続きについては、退職時の誓約書にサインして失敗した話や入社までの準備期間で失敗しない方法もあわせて読んでみてください。

