結論

贈与税の申告で失敗する人の多くは、「家族からもらったお金には、税金はかからない」と思い込んで、まとまった額を受け取っても申告をしていない人です。贈与税は、1年間にもらった金額の合計が基本の控除額(110万円)を超えると、もらった人が翌年の2月1日から3月15日までに申告して納める税金です。家族からのお金でも、まとまった額なら「申告がいるかもしれない」と立ち止まることが大切です。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、贈与税の申告を忘れてしまう原因と、受け取る前後に確かめたいことを解説します。

1失敗ストーリー

祖母からの150万円を、そのままにしていた話

お盆の帰省中、実家の居間で妹に贈与税の申告のことを聞かれ、麦茶を持ったまま固まるまなぶのイラスト

2年前の秋、まなぶは前の会社を辞め、新しい会社に入るまでの2か月あまり、収入のない時期を過ごしていました。その様子を心配した祖母が、「新しい仕事のお祝いと、生活の足しにね」と、まなぶの口座に150万円を振り込んでくれたのです。まなぶは、ありがたく受け取り、生活費や引っ越しの準備に少しずつ使いました。

「家族からのお金だし、税金なんて関係ないよね」。まなぶはそう考えて、誰にも何も相談しませんでした。翌年の春は、副業の確定申告のことで頭がいっぱいで、祖母からのお金のことは思い出しもしませんでした。

気づいたのは、今年のお盆の帰省のときでした。実家の居間で、妹が「そういえば、おばあちゃんにもらったお金、贈与税の申告ってした?」と聞いてきたのです。妹は職場の研修で、贈与税の話を聞いたばかりでした。「110万円を超えたら、申告がいるんだって」。まなぶは、麦茶のグラスを持ったまま固まりました。申告の期限は、去年の3月15日。もう1年以上も過ぎていました。

帰省から戻ると、まなぶは国税庁のホームページで調べ、税務署に相談しました。150万円から基本の控除額110万円を引いた40万円に税率をかけると、贈与税は4万円です。期限を過ぎているため、これに加算税と延滞税が加わることも分かりました。「自分から早めに申告したほうが、負担は軽くなることが多いですよ」という説明を受け、まなぶは9月のうちに申告と納付を済ませました。

さらに、そのときの相談で、祖母が昔からまなぶの名前で作ってくれていた預金口座の話をすると、「その口座は、お金の出し入れを誰がしているかによって、おばあさまの財産として扱われることもあります」と言われました。将来、祖母の相続のときに話がややこしくならないよう、今のうちに家族で整理しておいたほうがよいとも教わりました。「ありがたいお金なのに、知らないことだらけだった」。まなぶは帰り道、祖母にお礼の電話をかけながら、今度こそ家族できちんと話しておこうと決めました。

2原因分析

贈与税の申告を忘れてしまう5つの原因

1

家族からのお金には、税金がかからないと思い込んでいた

親や祖父母が、子や孫の生活費や教育費を、必要なときに必要な分だけ出すのは、通常は贈与税の対象になりません。けれども、まとまった金額を一度に受け取り、自分の判断で自由に使える場合は、贈与にあたることがあります。「家族だから」ではなく、「どんなお金を、どう受け取ったか」で考えることが大切です。

2

110万円の数え方を知らなかった

贈与税の基本の控除額110万円は、もらった人1人につき、1年間(1月1日〜12月31日)にもらった合計額に対してかかります。あげる人ごとに110万円ずつ使えるわけではありません。たとえば同じ年に、祖母から100万円、親から50万円をもらえば、合計150万円で110万円を超えます。「1人からは110万円以内」でも、合計で超えることがある点に注意しましょう。

3

申告の時期と、手続きの違いを知らなかった

贈与税の申告は、もらった年の翌年2月1日から3月15日までです。所得税の確定申告とほぼ同じ時期ですが、申告書は別のものです。会社員で確定申告をしたことがない人ほど、「自分には関係ない」と思いがちです。まなぶのように、副業の確定申告をしていても、贈与税は別の手続きとして意識しないと抜けてしまいます。

4

自分の名前の口座でも、自分のお金とは限らないことを知らなかった

家族が自分の名前で作ってくれた口座でも、家族がお金を入れ、通帳や印鑑を管理し、本人がその存在を知らないような場合は、実際には家族の財産として扱われることがあります(名義預金と呼ばれます)。口座の名前より、誰のお金を誰が管理しているかが見られます。家族のお金の話は、元気なうちにお互いに確かめておくと、あとで困りません。

5

気づいたあとも、すぐに相談しなかった

期限を過ぎて申告すると、加算税や延滞税がかかることがあります。ただし、税務署から調査の連絡が来る前に自分から申告した場合は、加算税が軽くなるのが一般的です。延滞税も、時間がたつほど増えていきます。気づいた時点で、税務署や専門家に早めに相談することが、負担を小さくする一番の方法です。申告書は国税庁のホームページで作ることもでき、分からない点は税務署の電話相談で聞くこともできます。

3図解

家族のお金をそのままにする人と、受け取る前後に確かめる人の違い

⚠ 贈与税の申告を忘れてしまう人のパターン
家族からのお金だから税金は関係ないと思い込む
↓
まとまった金額を受け取り、そのまま使う
↓
翌年の2〜3月に、申告のことを思い出さない
↓
何年かたってから、人に言われて気づく
↓
期限後の申告になり、加算税や延滞税もかかる
◎ 家族のお金とうまく付き合う人のパターン
まとまったお金をもらうときは、目的と金額を家族で話す
↓
その年にもらった合計額を、メモに残しておく
↓
110万円を超えたら、翌年2〜3月に贈与税の申告をする
↓
迷ったときは、受け取る前に税務署や専門家に相談する
↓
家族の気持ちを、心配なく受け取ることができる
4解決策

贈与税の申告で失敗しないためのチェックリスト

贈与税は、あげる側よりも、もらった側が手続きをする税金です。家族からまとまったお金を受け取ったら、次の項目を確かめてみてください。

  • 受け取ったお金の目的(生活費・教育費か、自由に使えるお金か)を確かめた
  • その年に、誰からいくらもらったかをメモに残した
  • 1年間の合計が110万円を超えるかどうかを確かめた
  • 超える場合は、翌年2月1日〜3月15日に申告することをカレンダーに入れた
  • 住宅の購入資金など、特例が使える場合があるかを調べた
  • 家族が自分の名前で作った口座があれば、その扱いを家族と話した
  • 申告を忘れていたと気づいたら、すぐに税務署や専門家に相談すると決めた

まなぶは申告を済ませたあと、祖母と両親、妹と一緒に、家族のお金の話をする時間をつくりました。名前だけの口座は祖母が自分で管理し続けることになり、今後まとまったお金を受け取るときは、受け取る前に一度相談することを家族で決めました。期限を過ぎた申告のつらさは、確定申告の期限に遅れて失敗した話でも紹介しています。家族のライフイベントとお金の関係は、住まいとライフイベントのお金の失敗から学ぶもあわせて読んでみてください。

※贈与税の扱いや特例の条件は、受け取ったお金の目的や金額、家族の状況によって異なり、税制改正で見直されることもあります。この記事は2026年10月時点の一般的な内容です。具体的なケースは、税務署や税理士に確認してください。
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税金や制度で損をしないために

家族からのお金を受け取ったときは、記録を残すことと、早めに専門家へ確認することが安心につながります。

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支出を可視化したい人向け

サブスク管理・家計簿アプリ【マネーフォワードME (ミー)】

口座への入金を一覧で見られるタイプです。家族から受け取ったお金がいつ、いくら入ったかが記録に残るので、1年間の合計を確かめるときや、申告の準備をするときの手がかりになります。

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確定申告や税務が不安な人向け

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税金の申告について、専門家に相談できるタイプです。家族から受け取ったお金に申告が必要かどうか、期限を過ぎてしまったときにどう対応すればよいかなど、自分では判断しにくいことを確認できます。早めに相談するほど、負担を小さくできます。

相談してみる

まなぶまなぶ
おばあちゃんからのお祝いだから、税金は関係ないと思ってました…。気づいたら、申告の期限を1年以上も過ぎていました。
みらいみらい
家族からのお金でも、1年間の合計が110万円を超えると、もらった人が申告することがあります。まとまったお金を受け取ったら、目的と金額を記録して、翌年2〜3月の申告を確かめましょう。
まなぶまなぶ
ありがたいお金だからこそ、きちんと手続きして受け取らないといけないんですね。

贈与税の申告を忘れてしまう原因は、家族からのお金には税金がかからないと思い込み、1年間の合計額も申告の時期も確かめないことです。受け取るときに目的と金額を家族で話し、記録を残し、110万円を超えたら翌年に申告する。それだけで、家族の気持ちを安心して受け取れます。税金や制度の手続き全体で損をしないための考え方は、税金の手続きで損する失敗から学ぶでまとめています。

税金・制度については、給与明細の確認で失敗する人の特徴5選やふるさと納税のワンストップ特例で後悔する理由もあわせて読んでみてください。

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