結論

AIで業務マニュアルを作るときに失敗しないためには、AIが書いた手順が「自分の職場の本当のやり方」と合っているかを確かめ、実際にその仕事をする人に一度試してもらってから使い始めることが大切です。AIに走り書きのメモを渡せば、見出しも手順もそろった、読みやすいマニュアルがすぐにできあがります。けれど、AIはメモに書かれていないところを、「よくあるやり方」でもっともらしく埋めてしまうことがあります。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、AIで業務マニュアルを作るときに失敗しない方法を解説します。

1失敗ストーリー

きれいなマニュアルどおりに進めたら、新人が迷子になった

OB戦のあとの体育館のベンチで、中学校の部活の先輩・Aさんの失敗の話を聞くまなぶのイラスト

この話は、まなぶが中学校のバスケットボール部でお世話になった先輩、Aさんから聞いたものです。母校の体育館で開かれたOB戦のあと、ベンチで汗をふきながら近況を話していたとき、まなぶが「最近、仕事でAIを使うことが増えて」と言うと、Aさんは「マニュアル作りで、ちょっと失敗したことがあるんだよ」と話してくれました。

Aさんは、地方の物流会社で総務の仕事をしています。春に新しい人が二人入ることになり、Aさんは経費の精算や備品の注文など、総務の仕事のマニュアルを作ることになりました。これまでは、仕事のやり方はすべてAさんの頭の中にあり、書いたものはほとんどありませんでした。忙しかったAさんは、手順を思いつくまま箇条書きにしたメモをAIに渡して、「新人向けの業務マニュアルにまとめて」と頼みました。

できあがったマニュアルは、見出しも番号もきれいにそろった、立派なものでした。Aさんは、さっと目を通して「よくできてる」と思い、そのまま新人の二人に渡しました。ところが、新人が初めて経費の精算をしたとき、書類が何度も差し戻されることになりました。調べてみると、Aさんのメモに書かれていなかった「誰の承認をもらうか」「どこに提出するか」の部分を、AIが一般的なやり方で書き足していたのです。Aさんの会社では、課長ではなく、拠点ごとの所長の承認が必要でしたが、マニュアルには「上司の承認を得て、経理部に提出する」と書かれていました。

新人の二人は、マニュアルどおりに進めたのに差し戻されるため、何が間違っているのか分からず、困ってしまいました。一人は「自分の理解が悪いのかもしれない」と、しばらく誰にも相談できなかったそうです。Aさんは、マニュアルを一行ずつ読み直し、自分の会社のやり方と違うところを7か所も見つけました。「きれいに書かれていたから、中身まで正しいと思い込んでいた」と、Aさんは振り返っていました。

まなぶにも、思い当たることがありました。入社したばかりのころ、まなぶは資料作りの手順を誰にも聞けず、困った経験があったからです。マニュアルは、困っている人が頼りにするものです。だからこそ、間違っていたときの影響が大きいのだと、まなぶはAさんの話を聞きながら感じていました。

2解決策

AIで業務マニュアルを作るときに失敗しない方法

1

AIが書き足したところに、印をつけてもらう

AIは、メモに書かれていないところも、文章が自然につながるように埋めてくれます。けれど、その部分が自分の職場のやり方と合っているとは限りません。AIに頼むときに、「メモに書かれていない内容を書き足したところには、印をつけて」と伝えておきましょう。印のついたところだけを重点的に確かめれば、短い時間で、思い込みによる間違いを防げます。

2

承認・提出先・締め切りは、必ず自分で書く

仕事の手順の中でも、「誰の承認をもらうか」「どこに出すか」「いつまでに出すか」は、職場ごとに違いが大きいところです。ここが間違っていると、マニュアルどおりに進めた人ほど困ってしまいます。こうした決まりごとは、AIに任せず、自分で書き込むか、必ず確かめるようにしましょう。分からないときは、担当の部署に聞いてから書くことが大切です。

3

実際にその仕事をする人に、一度試してもらう

マニュアルを作った本人は、仕事のやり方を知っているため、書かれていない部分を頭の中で補って読んでしまいます。本当に使えるマニュアルかどうかは、その仕事を知らない人が、マニュアルだけで仕事を進められるかで分かります。新しく入った人や、別の部署の人に一度試してもらい、迷ったところを教えてもらいましょう。迷ったところには、たいてい、書いた本人が「当たり前」だと思って省いた手順が隠れています。

4

困ったときに聞く相手を書いておく

どれだけ丁寧に作っても、マニュアルですべての場面をカバーすることはできません。「分からないときは、誰に聞けばいいか」を書いておくだけで、使う人は安心して仕事を進められます。新しく入った人ほど、「聞いてもいいのかな」と遠慮しがちです。聞く相手と、聞き方の例を書いておくと、困ったときに一人で抱え込まずに済みます。Aさんの会社の新人のように、「自分の理解が悪いのかも」と悩む時間も減らせます。

5

作った日と、見直す人を決めておく

仕事のやり方は、少しずつ変わっていきます。作ったときには正しかったマニュアルも、時間がたつと古くなります。マニュアルの最初に「作った日」と「見直す担当の人」を書き、半年に一度など、見直す時期を決めておきましょう。AIに「前のマニュアルと、今のやり方の違いを書き出して」と頼めば、見直しの作業も楽になります。使っている人から「ここが変わっていた」と声をもらえる仕組みを作っておくのも効果的です。

3図解

AIでマニュアルを作って失敗する人と、上手に作れる人の違い

⚠ AIで業務マニュアルを作って失敗する人のパターン
走り書きのメモをAIに渡し、マニュアルにまとめてもらう
↓
きれいにまとまっているので、さっと見て完成にする
↓
AIが一般的なやり方で埋めた部分に、気づかないまま配る
↓
マニュアルどおりに進めた人が、差し戻しにあって困る
◎ AIを使って役立つマニュアルを作れる人のパターン
AIが書き足したところに、印をつけてもらう
↓
承認・提出先・締め切りは、自分で確かめて書く
↓
その仕事を知らない人に試してもらい、迷ったところを直す
↓
初めての人でも、迷わず仕事を進められるマニュアルになる
4チェックリスト

AIで作ったマニュアルを配る前のチェックリスト

AIは、頭の中にある仕事のやり方を、形にしてくれる心強い道具です。マニュアルを配る前に、次の項目を確かめてみてください。

  • AIが書き足したところに印をつけてもらい、確かめた
  • 承認・提出先・締め切りが、自分の職場のやり方と合っている
  • その仕事を知らない人に、一度試してもらった
  • 分からないときに聞く相手を書いた
  • 作った日と、見直す担当の人・時期を書いた
  • 社内の情報をAIに入力してよいか、会社のルールを確認した

Aさんは今、AIでマニュアルを作るときは、必ず「書き足したところに印をつけて」と頼み、印のついたところを一つずつ確かめています。配る前には、別の拠点の同僚に読んでもらい、分かりにくいところを教えてもらっているそうです。「マニュアルは、書いたら終わりじゃなくて、使ってもらって完成するんだよね」。そう話すAさんの言葉を、まなぶは自分の仕事の資料作りにも生かそうと思いました。

※社内のルールや手順、取引先の名前などをAIに入力してよいかは、会社のルールによって異なります。マニュアルを作る前に、会社で認められているツールと使い方を確認しましょう。
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Aさんは、AIが一般的なやり方で書き足したマニュアルをそのまま配って、新人さんを困らせてしまったそうです…。
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AIは、書かれていないところをもっともらしく埋めることがあります。書き足したところに印をつけてもらい、実際に使う人に試してもらいましょう。
まなぶまなぶ
マニュアルは、使ってもらって完成するんですね。

AIで業務マニュアルを作るときに失敗しないためには、AIが書き足したところを確かめ、承認や提出先などの決まりごとは自分で書き、その仕事を知らない人に試してもらうことが大切です。聞く相手と見直す時期も書いておけば、マニュアルは長く頼りにされるものになります。仕事でAIを使うときに失敗しないための考え方は、業務でのAI活用の失敗から学ぶでまとめています。

仕事でのAI活用については、AIにExcelの関数を作らせて後悔する理由やAIで仕事のスケジュールを組んで後悔する理由もあわせて読んでみてください。

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