結論

人事職への転職で後悔する人の多くは、「人と関わる仕事がしたい」「採用の面接をしてみたい」というイメージだけで目指し、人事の仕事の幅の広さや、会社の中での立場の違いを知らないまま転職してしまう人です。人事の仕事には、採用のほかにも、給料の計算や社会保険の手続き、評価や研修の制度づくりなど、さまざまな役割があります。どの仕事を任されるのかを確かめずに入社すると、「思っていた人事と違う」と感じることになります。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、人事職への転職で後悔する理由と、目指す前に確かめたいことを解説します。

1失敗ストーリー

「採用の仕事」のつもりが、毎月の締め切りに追われていた

平日の昼休み、オフィス街の定食屋で、人事職に転職した前の会社の同期Aさんの話を真剣に聞くまなぶのイラスト

ある平日の昼休み、まなぶは前の会社で同期だったAさん(30代女性)と、オフィス街の定食屋で久しぶりにランチをしました。Aさんは、前の会社で8年間営業をしたあと、去年、社員300人ほどの会社の人事部に転職していました。「人事の仕事、楽しいって言いたいところなんだけど、正直、思っていたのとはだいぶ違ったんだよね」。Aさんは、焼き魚定食の箸を置いて話し始めました。

Aさんが人事を目指したのは、営業時代に新人の教育係をしたことがきっかけでした。「人の成長に関わる仕事がしたい」「採用の面接で、会社に合う人を見つけたい」。求人票の「人事総務スタッフ」という言葉に、採用や研修の仕事を思い描いて応募し、内定をもらいました。仕事の中身について、くわしく質問することはありませんでした。「人事なら、どこでも採用の仕事があるはず」と思い込んでいたのです。

ところが、入社して任されたのは、社員の勤怠の確認、毎月の給料の計算、入社や退職のときの社会保険の手続きでした。毎月の締め切りに追われ、一つの数字の間違いも許されない仕事で、採用の面接に関わる機会はほとんどありませんでした。しかも、社員の給料や家庭の事情など、人に話せない情報を扱うため、前の職場のように同僚と気軽に話すことも減りました。「営業のころは、みんなと一緒に喜んだり悔しがったりできたのに、今は『会社側の人』って見られている気がして」とAさんは言いました。

それでもAさんは、労務の仕事を覚えながら、来年は採用の担当も兼ねられるよう、上司と話を進めているそうです。「人事の中にどんな仕事があって、自分がどれを担当するのか、最初に聞いておけばよかった」。「人事」という名前に、自分の好きな仕事だけを重ねていた。まなぶは、Aさんの話を聞きながら、職種名だけで仕事を思い描いてしまう怖さを、改めて感じていました。

2原因分析

人事職への転職で後悔する5つの理由

1

「人事=採用」というイメージで目指した

人事と聞くと、採用の面接や説明会を思い浮かべる人が多いかもしれません。けれど、人事の仕事は、採用、労務(給料・勤怠・社会保険)、評価や給料の制度づくり、研修や育成など、いくつもの分野に分かれています。採用は人事の仕事の一部にすぎず、会社によっては担当する人が限られています。人事のどの分野の仕事がしたいのかを、まず自分の中ではっきりさせておきましょう。分野ごとに、求められる知識や1日の過ごし方は大きく違います。

2

担当する仕事の範囲を確かめなかった

「人事総務」「人事スタッフ」といった求人では、人事のさまざまな仕事を少しずつ担当することもあれば、労務の仕事が中心になることもあります。同じ「人事」という名前でも、会社の規模や人事部の人数によって、任される仕事はまったく違います。面接では、「入社後に担当する仕事の割合」や「人事部の中での役割分担」を具体的に聞いておきましょう。採用に関わりたいなら、その希望を選考の段階で伝えておくことも大切です。小さな会社では、人事と総務を一人で担当することもあります。

3

正確さと締め切りが求められる仕事だと知らなかった

給料の計算や社会保険の手続きは、社員の生活に直接かかわる仕事です。だからこそ、ミスなく続ける力が信頼につながります。毎月の締め切りがあり、一つの間違いが社員の信頼を大きく損ねることもあります。人と話す仕事というより、数字と書類に正確に向き合う時間が長いことも少なくありません。細かな作業をこつこつ続けることが自分に合うかどうかを、考えておきましょう。労働や社会保険のルールを学び続ける姿勢も求められます。法律や制度の変更に合わせて、手続きのやり方が変わることもあるからです。

4

社員との距離が変わることを想定していなかった

人事は、社員の給料や評価、家庭の事情など、人に話せない情報を扱う立場です。そのため、同僚と気軽に話せる話題が減ったり、「会社側の人」と見られたりすることもあります。人の役に立ちたくて選んだ仕事なのに、人との距離を感じてしまうというのは、人事に転職した人がよく口にする戸惑いです。秘密を守る責任と、社員に寄り添う役割の両方を担う仕事だと、あらかじめ知っておきましょう。その立場を理解したうえで選べば、戸惑いはぐっと小さくなります。

5

人事の中でのキャリアの道筋を考えなかった

最初は労務の仕事から始まっても、経験を積むと採用や制度づくりを任される会社もあります。反対に、担当が固定されていて、ほかの仕事に移りにくい会社もあります。入社後、どんな順番で仕事の幅が広がっていくのかを確かめておけば、最初の仕事が希望と違っても、先を見通して働けます。実際に人事で働く人がどんな経歴をたどってきたのかを、面接で聞いてみるのもおすすめです。道筋が見えていれば、今の仕事を次へのステップとして前向きに受け止められます。

3図解

人事職への転職で後悔する人と、納得して働ける人の違い

⚠ 人事職への転職で後悔する人のパターン
「採用の面接をしてみたい」というイメージで人事を目指す
↓
担当する仕事の範囲を確かめずに入社する
↓
給料の計算や手続きの仕事が中心になり、締め切りに追われる
↓
「思っていた人事と違う」と感じ、社員との距離にも戸惑う
◎ 人事職で納得して働ける人のパターン
人事の仕事の分野を知り、やりたい分野を決める
↓
担当する仕事の割合と、人事部の役割分担を確かめる
↓
入社後に仕事の幅が広がる道筋を確かめる
↓
最初の仕事の意味を理解し、先を見通して働ける
4解決策

人事職を目指す前のチェックリスト

人事の仕事は、会社と社員の両方を支える、やりがいのある仕事です。目指す前に、次の項目を確かめてみてください。

  • 採用・労務・制度・研修など、人事の仕事の分野を調べた
  • 自分がやりたい分野と、その理由を言葉にした
  • 入社後に担当する仕事の割合を、面接で確かめた
  • 数字や書類に正確に向き合う仕事が、自分に合うかを考えた
  • 秘密を扱う立場になることを理解した
  • 人事の中で仕事の幅が広がる道筋を確かめた

定食屋を出るとき、Aさんは「営業で身につけた、人の話を聞く力は、人事でもちゃんと生きてるんだ」と笑いました。まなぶは、職種を選ぶときは、名前から仕事を想像するのではなく、毎日の仕事の中身から確かめることが大切なのだと感じました。

※人事部の仕事の分け方や担当の範囲は、会社の規模や業種によって大きく異なります。求人票の職種名だけで判断せず、応募する会社ごとに確かめましょう。
5おすすめサービス

人事職への近づき方を考えるなら

人事職を目指すときは、自分の経験が人事のどの分野で生かせるのかを知り、仕事の中身をよく知る専門家に相談しながら探すのがおすすめです。

B
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C
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診断してみる

まなぶまなぶ
前の会社の同期のAさん、採用の仕事をしたくて人事に転職したら、給料の計算や手続きが中心だったそうです…。
みらいみらい
人事の仕事は、採用だけではありません。やりたい分野を決めて、入社後に担当する仕事の中身と、その先の道筋を確かめておきましょう。
まなぶまなぶ
「人事」という名前じゃなく、毎日の仕事の中身で選ぶんですね。

人事職への転職で後悔する原因は、「人事=採用」というイメージだけで目指し、担当する仕事の範囲や、求められる正確さ、社員との距離の変化を確かめないまま入社してしまうことです。人事の分野を知り、やりたい分野を決め、担当する仕事と先の道筋を確かめる。それだけで、人事の仕事は納得して続けられるものになります。業界や職種を変える転職で失敗しないための考え方は、公務員から民間転職の失敗から学ぶでまとめています。

業界・職種を変える転職については、不動産業界への転職で失敗する人の特徴5選や異業種から介護職へ転職して失敗した話もあわせて読んでみてください。

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