結論

キャリアの棚卸しで失敗する人の多くは、これまでの職歴を年表のように並べただけで、「何ができるのか」「次に何をしたいのか」まで掘り下げていない人です。棚卸しは、書類を書くための準備ではなく、転職するかどうか、どんな仕事を選ぶかを決めるための土台です。土台があいまいなまま動き出すと、求人の条件だけで選んでしまい、転職したあとに「こんなはずじゃなかった」と後悔しやすくなります。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、キャリアの棚卸しで失敗する人の特徴5つと、判断に使える棚卸しのしかたを解説します。

1失敗ストーリー

「次にやりたいことは?」に答えられなかった

転職エージェントの面談のあと、オフィス街の歩道橋の上で立ち止まり、経歴を書いただけのノートを見下ろして気まずそうな顔をするまなぶのイラスト

2年前、転職を考え始めたまなぶは、最初に転職エージェントの面談を予約しました。「準備はしておこう」と、前の晩にノートを開き、入社してからの経歴を書き出しました。入社1年目は営業事務、3年目から営業企画の補佐、5年目からは資料作成とデータの集計。書き終えたページを眺めて、まなぶは「これで十分だろう」と思いました。

翌日の面談で、担当のアドバイザーは、まなぶの書いた経歴にひととおり目を通してから、こう聞きました。「ありがとうございます。それで、この中でまなぶさんが一番成果を出せたことと、次の職場で一番やりたいことは何でしょう?」。まなぶは、何も答えられませんでした。何をしてきたかは書けても、何がうまくできて、何をしたいのかは、一度も考えたことがなかったのです。

「そうですね…今の仕事に近いもので、年収が少し上がれば…」。ようやく出てきた答えに、アドバイザーは困ったようにほほえみました。面談のあと、オフィス街の歩道橋の上で立ち止まり、まなぶはノートを開きました。そこに並んでいたのは、部署の名前と年数だけでした。経歴を書いたことで、自分のことを分かったつもりになっていた。まなぶは、棚卸しをしたつもりで、何も棚から下ろしていなかったことに気づきました。書けたのは「どこにいたか」だけで、「そこで何をしたか」は一行もなかったのです。

結局、その後の活動でも「やりたいこと」はあいまいなまま、求人の条件を見比べて転職先を選ぶことになりました。入社してから、思っていた仕事とのずれに気づくことになるのですが、それはこのときの棚卸しの浅さが始まりでした。

2原因分析

キャリアの棚卸しで失敗する人の特徴5選

1

「やってきたこと」だけを並べている

所属した部署や担当した業務を並べるだけでは、棚卸しは半分しか終わっていません。大切なのは、その仕事の中で、自分が何を工夫し、何ができるようになったのかを言葉にすることです。「資料作成を担当」ではなく、「バラバラだった営業データを一枚にまとめ、会議の時間を短くした」のように、自分の行動まで書き出すと、できることが見えてきます。同じ「資料作成」でも、数字を集めるのが得意なのか、伝わる形に整えるのが得意なのかで、向いている次の仕事は変わります。

2

成果を場面や数字で振り返っていない

「頑張った」「任された」という言葉だけでは、自分の強みを人に伝えることも、自分で確かめることもできません。いつ、どんな場面で、何がどう変わったのか。数字が出せるものは数字で、出せないものは具体的な場面で振り返ると、自分がどんなときに力を発揮できるのかが分かります。うまくいかなかった経験から学んだことも、立派な棚卸しの材料です。「どんな失敗をして、次にどう変えたか」は、面接でもよく聞かれる大切な話になります。

3

「嫌なこと」から抜け出すことしか考えていない

今の職場の不満ははっきりしていても、次に何をしたいのかは考えていない。この状態で転職先を探すと、「今の不満がなさそうな会社」を選ぶことになり、別の不満にぶつかりやすくなります。不満の裏側にある「本当はこうしたい」を書き出すことで、次の仕事に求めることが見えてきます。たとえば「上司の承認待ちが多くてつらい」という不満の裏には、「自分の判断で仕事を進めたい」という希望が隠れているかもしれません。転職理由を深掘りしないまま動いて後悔する人の特徴は、転職して後悔した人の特徴7選で紹介しています。

4

一人だけで棚卸しをしている

自分の強みは、自分では当たり前すぎて気づきにくいものです。同僚や上司、友人に「自分はどんな仕事が得意に見える?」と聞いてみると、思いがけない答えが返ってくることがあります。人から頼まれることや、感謝されたことには、自分の強みが隠れています。診断ツールや第三者の面談を使って、外からの視点を取り入れるのも一つの方法です。自分の評価と人からの評価が違うところにこそ、新しい気づきがあります。

5

一度やったら終わりにしている

棚卸しは、一度で完成するものではありません。転職活動の途中で求人を見たり、面接で質問されたりするうちに、自分の考えが変わることもあります。活動の節目ごとに見直し、書き足していくことで、判断の軸がしだいにはっきりしてきます。転職するつもりがなくても、年に一度は棚卸しをしておくと、いざというときに慌てずに済みます。人事評価の面談の前に見直す習慣にすると、今の職場での目標づくりにも役立ちます。

3図解

棚卸しで失敗する人と、判断の土台にできる人の違い

⚠ キャリアの棚卸しで失敗する人のパターン
部署と年数を年表のように書き出して、棚卸しを終える
↓
今の不満だけを理由に、求人の条件を見比べ始める
↓
強みも、次にやりたいことも、言葉にできないまま選考に進む
↓
条件だけで転職先を選び、入社後にずれに気づく
◎ 棚卸しを判断の土台にできる人のパターン
経験ごとに、工夫したことと身についたことを書き出す
↓
成果を場面や数字で振り返り、人の意見も取り入れる
↓
「できること」と「やりたいこと」から、次に求める条件を決める
↓
自分に合う仕事を選べ、面接でも自分の言葉で話せる
4解決策

判断に使えるキャリアの棚卸しチェックリスト

キャリアの棚卸しは、ノート1冊とまとまった時間があれば始められます。一度に完璧に書こうとせず、週末に1時間ずつ、数回に分けて進めるくらいがちょうどいいペースです。次の項目を一つずつ書き出してみてください。

  • これまでの仕事ごとに、自分が工夫したことを書き出した
  • 成果を、数字や具体的な場面で一つ以上書けた
  • 人からよく頼まれること、感謝されたことを書き出した
  • 今の不満の裏側にある「本当はこうしたい」を言葉にした
  • 同僚や友人に、自分の得意なことを聞いてみた
  • 「できること」「やりたいこと」から、次の仕事に求める条件を3つに絞った

まなぶは今、年に一度、年末にこのチェックリストで棚卸しをしています。書き出してみると、自分が一番手応えを感じていたのは、資料を作ることそのものではなく、バラバラの情報を整理して、人が判断しやすい形にすることだと分かりました。経歴の年表ではなく、「何ができて、何をしたいか」の地図を持つこと。それが、次に転職を考えるときの土台になると、まなぶは感じています。今の職場に残るか、動くかを考えるときも、この地図があれば、条件ではなく自分の軸で比べられます。

棚卸しで見えたことは、書類や面接でもそのまま生きてきます。職務経歴書のまとめ方は職務経歴書で失敗しない方法で、条件だけで選んで後悔する理由は年収だけで転職すると後悔する理由で紹介しています。

5おすすめサービス

自分の強みを外からの視点で確かめるために

棚卸しは、自分で書き出すことに加えて、外からの視点を取り入れると、ぐっと深まります。

C
自分の市場価値やキャリアの方向性を客観視したい人向け

市場価値から本当のキャリアパスを見出すサービス【ミイダス】

第三者視点で自分の強みや適性、これまでのキャリアの棚卸しを手伝ってもらえるタイプです。何から始めればいいか分からない人の最初の一歩に向いています。自分では気づきにくい強みを言語化してもらえることも、こうしたサービスの価値の一つです。

診断してみる

B
キャリアを整理してから動きたい人向け

年収1000万円以上の転職なら【プロフェッショナル転職サービス/ランスタッド】

これまでの経験や実績を、第三者と一緒に言語化していけるタイプです。自分では気づきにくい強みを引き出してもらえることがあります。転職を考え始める前の段階から利用できるサービスもあります。

相談してみる

まなぶまなぶ
経歴は書けたのに、「次に一番やりたいことは?」と聞かれて、何も答えられませんでした…。
みらいみらい
棚卸しは、やってきたことを並べるだけでは終わりません。工夫したことや成果、本当はやりたいことまで言葉にして、転職の判断に使える形にしましょう。
まなぶまなぶ
年に一度、「できること」と「やりたいこと」を書き出すようにします!

キャリアの棚卸しで失敗しないために大切なのは、経歴を並べて終わりにせず、工夫したこと、成果、人から頼まれること、本当はやりたいことまで書き出し、次の仕事に求める条件を決めることです。棚卸しが深まるほど、転職するかどうかの判断も、仕事選びも、自分の軸でできるようになります。転職の判断と準備で後悔しないための全体の考え方は、転職して後悔した人の特徴7選でまとめています。

転職活動の進め方で失敗しないためのポイントは、転職活動の期間設定で失敗しない方法もあわせて読んでみてください。

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