ベンチャー転職の失敗から学ぶ
ベンチャー転職で失敗する人に共通するのは、環境の変化そのものよりも、「裁量の大きさ」「将来性」といった魅力的な言葉に惹かれるあまり、その会社が今どんな成長ステージにあり、資金調達や事業がどれくらい安定しているのかを確認する一手間を怠ってしまうことです。経営者のビジョンに共感すること自体は悪いことではありませんが、事業の実態を確認しないまま飛び込むと、方針転換や待遇の変動に振り回されることになります。本記事では、ベンチャー転職で失敗する人に共通する理由と、後悔しないための考え方を、まなぶの失敗ストーリーとともに解説します。
まなぶ、ベンチャーの「将来性」に惹かれて確認を怠った誤算
まなぶは転職エージェント経由で、急成長中と噂のBtoB向け業務効率化ツールを開発するベンチャー企業を紹介された。面接で社長が語る「3年後には業界No.1を目指す」という熱いビジョンと、「裁量を持って事業を動かせる」という言葉に、まなぶは強く心を惹かれた。「この会社で成長を実感しながら働きたい」。そう思ったまなぶは、他の候補企業とじっくり比較することもなく、その場の熱意だけで入社を決めてしまった。求人票には「業界屈指の成長率」と書かれていたが、その根拠となる具体的な数字や、事業の裏付けまでは深く確認しなかった。
入社直後は、活気のあるオフィスの雰囲気に満足していた。新規機能の企画を任され、若手のうちから裁量ある仕事に携われることにやりがいも感じていた。ところが入社から数ヶ月が経った頃、社内で「資金調達がうまくいっていないらしい」という噂が耳に入るようになった。まなぶは入社前、事業の資金繰りや直近の資金調達状況を確認しようとは思いもしなかったことに、そこで初めて気づいた。
追い打ちをかけるように、まなぶが数週間かけて進めていた新規機能のプロジェクトが、経営方針の転換によって突然凍結されてしまった。「せっかく形になってきたのに」。まなぶは落胆したが、周囲の先輩社員たちは「ベンチャーではよくあること」と、驚くほど淡々と受け止めていた。まなぶだけが、事業の方向性がこれほど頻繁に変わり得るものだと、想像できていなかったのだ。
さらにまなぶを打ちのめしたのは、冬のボーナス支給日の出来事だった。「業績次第」という説明は入社時に受けていたものの、まなぶは漠然と一定額は出るものだと思い込んでいた。ところが実際に支給された額は、想定していたよりもはるかに少なく、まなぶは通知の画面を何度も見返してしまった。何を基準に評価され、どのような業績が待遇に反映されるのか、入社時にきちんと確認していなかったことに、まなぶはそこで初めて気づかされた。「裁量が大きい」「将来性がある」という言葉の裏に、評価基準や待遇の見通しにくさが隠れていたことを、まなぶはこのとき痛感した。
同僚に相談してみると、「入社前に資金調達のラウンドや、直近の決算情報くらいは調べておいた方がいいよ」と、あっさり言われてしまった。その同僚は、転職活動の段階で複数のベンチャー企業を比較し、資金調達の実績や経営陣の経歴まで調べたうえで、この会社を選んだのだという。まなぶは、そうした確認が転職活動の当たり前の一手間であることを、恥ずかしながら知らなかった。ビジョンへの共感と、事業の実態を確認する冷静さは、両立できるはずのものだったのだ。
「経営者の熱意に共感すること自体は、間違っていなかったはずなのに」。まなぶは、将来性やビジョンに心を動かされたこと自体を悔やむのではなく、その先にある事業の安定性を確認する一手間を怠っていたことこそが、失敗の本当の原因だったのだと、身をもって思い知ることになった。
なぜベンチャー転職で失敗する人が多いのか
「将来性」「裁量の大きさ」という言葉だけに惹かれ、事業の実態を確認しない
経営者の語るビジョンに共感すること自体は、決して悪いことではありません。ただし、その言葉だけで判断してしまうと、事業がまだどれほど不安定な段階にあるのかを見落としてしまいます。魅力的な言葉に出会ったときこそ、一度立ち止まって事業の実態を確認する姿勢が必要です。
資金調達の状況やランウェイ(資金が尽きるまでの期間)を確認せずに入社してしまう
ベンチャー企業の経営の安定性は、資金調達の状況に大きく左右されます。直近の資金調達ラウンドや、事業がどれくらいの期間、資金面で持続できるのかといった情報は、入社前に確認しておきたい重要な指標です。
経営者のビジョンに共感するあまり、評価制度や待遇の仕組みを見落とす
熱意あるビジョンに共感すると、待遇面の確認をどこか遠慮してしまう人は少なくありません。しかし、評価基準やボーナスの算定方法が曖昧なままでは、頑張りがどう報われるのか見通せず、入社後に大きな不安を抱えることになります。
事業方針の急な転換(ピボット)への心構えができていない
ベンチャー企業では、事業環境の変化に応じて方針や優先順位が大きく変わることが珍しくありません。自分が任されたプロジェクトが凍結・方向転換されることも起こり得ると、あらかじめ心構えをしておくことで、実際に直面したときの動揺を小さくできます。
「裁量が大きい」の裏にある給与変動リスクを軽視してしまう
裁量の大きさや成長機会は、ベンチャー企業ならではの魅力です。ただし、それは同時に、業績次第で待遇が変動しやすいというリスクと表裏一体でもあります。魅力とリスクの両方を理解したうえで判断することが、後悔を防ぐ鍵になります。
ベンチャー転職で失敗する人と、納得して選べる人の違い
ベンチャー転職で後悔しないための5つのチェックリスト
- 直近の資金調達ラウンドや決算情報など、事業の資金面の安定性を確認する
- 評価基準やボーナスの算定方法を、入社前に具体的に確認しておく
- 経営者のビジョンへの共感と、事業実態の確認を切り分けて考える
- 事業方針が急に転換される可能性があることを、あらかじめ想定しておく
- 「裁量が大きい」という言葉の裏にある待遇変動リスクも理解しておく
ベンチャー転職で後悔しないために頼れるサービス
市場価値から本当のキャリアパスを見出すサービス【ミイダス】
第三者視点で自分の強みや適性、これまでのキャリアの棚卸しを手伝ってもらえるタイプです。ビジョンへの共感と、自分のキャリアの方向性を切り分けて考えたい人の、最初の一歩に向いています。
企業口コミ・評判サービス【エン カイシャ】
実際に働いた人の声から、事業の実態や社内の雰囲気、待遇面のリアルな声を確認できるタイプです。求人票や面接だけでは分からない情報を、入社前の判断材料として活用できます。
まなぶ
みらいベンチャー企業への転職は、大きな成長機会と魅力に満ちた挑戦です。ただし、その魅力的な言葉の裏にある事業の実態を確認する一手間を怠ると、方針転換や待遇の変動に振り回され、後悔につながってしまうことがあります。資金調達状況や評価制度を確認すること、事業方針が変わり得ることを想定しておくこと、ビジョンへの共感と実態の確認を両立させること。この一手間の積み重ねが、ベンチャー転職を後悔ではなく、納得して力を発揮できる選択に変えてくれます。
企業タイプによって起こりやすい転職の失敗は、こちらの記事でも取り上げていますので、あわせてご覧ください。
転職全般で確認不足による後悔については転職して後悔した人の特徴7選でも詳しく解説しています。

