結論

有料のキャリア相談で後悔する人の多くは、「お金を払えば、誰かが自分の進むべき道を決めてくれる」と期待し、相談の目的も、ほかの選択肢も確かめないまま申し込んでしまう人です。キャリアの相談には、有料のサービスのほかに、転職エージェントや公的な窓口など、無料で使えるものもあります。有料の相談が役に立つ場面もありますが、目的があいまいなままでは、どれだけ高いお金を払っても、決めるのは結局自分だという事実は変わりません。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、有料のキャリア相談で後悔する理由と、申し込む前に確かめたいことを解説します。

1失敗ストーリー

3か月後に届いたのは、修了証だけだった

夜、マンションの集合ポストの前で、有料のキャリア相談の修了証が入った封筒を開け、脱力して苦笑いするまなぶのイラスト

2年前に転職した会社で、まなぶが期待していた企画の仕事は、なかなか回ってきませんでした。「このままでいいのか。また転職するべきなのか」。入社して1年がたったころ、まなぶはSNSで見かけた有料のキャリア相談の広告に目を留めました。「プロのコーチが、あなたの本当にやりたいことを見つけます」「受講者の多くが年収アップ」。

無料の説明会に参加すると、担当者は熱心に話を聞いてくれました。「今月中に申し込めば、特別に割引できます」。3か月で6回の面談、料金は数十万円。迷いはありましたが、「これで答えが見つかるなら」と、その場で申し込みました。料金はカードの分割払いにしました。帰り道、「これで迷いから抜け出せる」と、少し気持ちが軽くなったのを覚えています。

ところが、始まってみると、面談の多くは配られたワークシートを埋めて、その内容を話すことのくり返しでした。担当のコーチは毎回うなずきながら聞いてくれましたが、まなぶの業界や仕事について具体的な話になることはほとんどありません。「あなたの強みは誠実さです」「答えはあなたの中にあります」。どれも間違いではないのですが、次に何をすればいいのかは、最後まで分かりませんでした。

3か月後、マンションの集合ポストに、プログラムの修了証が届きました。立派な封筒を開けながら、まなぶは考えました。払ったお金で手に入ったのは、自分が書いたワークシートの束と、この一枚の紙だけだった。あとで調べてみると、転職エージェントや公的な窓口でも、無料でキャリアの相談ができることを知りました。まなぶは、目的も比べる相手も持たないまま、高い買い物をしていたことに気づきました。

2原因分析

有料のキャリア相談で後悔する5つの理由

1

相談の目的を決めずに申し込んだ

「なんとなくモヤモヤしている」状態のまま相談を申し込むと、何を話せばいいのかも、何が分かれば成功なのかもはっきりしません。「転職するかどうかを決めたい」「自分の強みを言葉にしたい」「応募書類を見てもらいたい」など、相談で得たいものを一つに絞っておくことが大切です。目的が決まれば、どんな相談先が合っているのかも見えてきます。まずは自分で棚卸しをして、何が分からないのかをはっきりさせておくと、相談の質も上がります。

2

無料で使える相談先と比べなかった

キャリアの相談は、有料のサービスだけではありません。転職エージェントでは、無料でキャリアの相談や求人の紹介を受けられます。国や自治体も、無料のキャリア相談の窓口を設けています。今の会社に、上司とのキャリア面談や相談の制度がある場合もあります。無料の相談先を一度も使わないまま、いきなり高い料金を払う必要はありません。無料の相談で足りない部分が分かってから、有料のサービスを検討しても遅くはありません。

3

担当者の経歴とサポートの中身を確かめなかった

キャリアの相談に乗る人の経歴や得意分野は、サービスや担当者によってさまざまです。国家資格の「キャリアコンサルタント」を持っているか、自分の業界や職種に詳しいか、面談では何をしてくれるのか。申し込む前に、担当者の経歴と、サポートの具体的な内容を確かめることが大切です。説明会の雰囲気や担当者の熱意だけで決めると、受けてから「思っていたのと違う」となりがちです。可能であれば、実際に受けた人の話や、体験の面談で、自分に合うかどうかを確かめておきましょう。

4

「年収アップ」などの言葉を信じた

「受講者の多くが年収アップ」「必ず本当の自分が見つかる」といった言葉は、魅力的に聞こえます。しかし、年収や転職の結果は、本人の経験や行動、市場の状況によって大きく変わります。結果を約束するような言葉ほど、その根拠や条件を確かめる必要があります。「今月だけの割引」など、その場で決めさせようとする誘いにも、一度立ち止まることが大切です。本当に価値のあるサービスなら、一晩考えてから申し込んでも遅くはありません。

5

契約の条件を確かめず、自分で考えることまで任せた

高額な相談は、途中でやめたくなっても、返金や解約の条件によっては、お金が戻らないことがあります。申し込む前に、解約や返金の条件を書面で確かめ、その場では決めずに持ち帰るようにしましょう。そして、どんなに良い相談先でも、最後に決めるのは自分です。相談は、考える材料をもらう場であって、答えそのものを買う場ではありません。契約で困ったときは、消費生活センター(消費者ホットライン「188」)に相談できます。

3図解

有料の相談で後悔する人と、相談をうまく使える人の違い

⚠ 有料のキャリア相談で後悔する人のパターン
モヤモヤしたまま、広告の言葉にひかれて説明会に行く
↓
無料の相談先と比べず、割引の言葉でその場で申し込む
↓
答えを出してもらうのを待ち、自分では考えない
↓
高いお金を払っても、次に何をすればいいかが分からない
◎ キャリアの相談をうまく使える人のパターン
相談で得たいものを一つに絞ってから、相談先を探す
↓
まず無料の相談先を使い、足りない部分を見極める
↓
有料にするなら、担当者・中身・解約条件を確かめて持ち帰る
↓
必要な助けだけを借りて、自分の判断で次の一歩を決められる
4解決策

キャリア相談を申し込む前のチェックリスト

キャリアの相談は、使い方しだいで心強い味方になります。申し込む前に、次の項目を確認してみてください。

  • 相談で得たいものを、一つに絞って書き出した
  • 転職エージェントや公的な窓口など、無料の相談先を一度使ってみた
  • 担当者の経歴、資格、自分の業界への詳しさを確かめた
  • 面談の回数と、一回ごとに何をしてくれるのかを確かめた
  • 「結果の約束」や「今だけの割引」に、根拠があるか考えた
  • 解約や返金の条件を書面で確かめ、その場では決めずに持ち帰った

まなぶはその後、無料の相談先をいくつか使ってみました。転職エージェントの面談では、自分の経験が外でどう評価されるのかを具体的に教えてもらえました。そして、今の会社のキャリア面談で、企画の仕事に関わりたいと伝えたことで、少しずつ状況が変わり始めています。

答えは、お金で買うものではなく、材料を集めて自分で出すもの。修了証の封筒は、その教訓を忘れないために、今も机の引き出しにしまってあります。自分の強みの見つけ方はキャリアの棚卸しで失敗する人の特徴5選で、迷いを終わらせる手順は転職するか迷ったときに失敗しない方法で紹介しています。

※有料のキャリア相談の料金や契約の条件、返金の扱いは、サービスによって異なります。申し込む前に必ず書面で確認し、契約に関するトラブルは消費生活センターなどに相談してください。
5おすすめサービス

まずは無料で、キャリアの相談をしてみるなら

高い料金を払う前に、無料で使える相談先で、自分の経験や方向性を整理してみるのがおすすめです。

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幅広い業界を見たい人向け

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求人数が多く、業界を横断して幅広い選択肢を比較できるタイプ。無料でキャリアの相談ができ、自分の経験が転職市場でどう評価されるのかを具体的に知ることができます。まず全体像を把握したい人に向いています。

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これまでの経験や実績を、第三者と一緒に言語化していけるタイプです。自分では気づきにくい強みを引き出してもらえることがあります。転職を考え始める前の段階から利用できるサービスもあります。

相談してみる

まなぶまなぶ
数十万円払ったのに、3か月後に残ったのはワークシートの束と修了証だけでした…。
みらいみらい
相談の目的を一つに絞って、まずは無料の相談先を使ってみましょう。有料にするなら、担当者の経歴や解約の条件を確かめてから決めることが大切ですよ。
まなぶまなぶ
答えを買うんじゃなくて、材料を集めて自分で決めるんですね。

有料のキャリア相談で後悔する原因は、目的があいまいなまま、無料の選択肢と比べず、誰かに答えを決めてもらうことを期待して申し込んでしまうことです。相談で得たいものを絞り、無料の相談先から使い、有料にするなら担当者と中身と条件を確かめ、決めるのは自分だと心に置いておく。それだけで、キャリアの相談は心強い味方になります。転職の判断と準備で後悔しないための全体の考え方は、転職して後悔した人の特徴7選でまとめています。

未経験の分野への挑戦で後悔しないためのポイントは、未経験転職で後悔する理由もあわせて読んでみてください。

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