結論

ミスの謝り方で失敗する人の多くは、相手に迷惑をかけたと分かっていながら、「実は事情があって」と言い訳から話し始めたり、「確認します」とだけ言って、相手の困りごとや今後の対応を伝えないまま終わらせてしまう人です。ミスそのものより、そのあとの謝り方で、相手の気持ちがこじれてしまうことは少なくありません。謝り方の基本は「事実とおわびを先に、事情はあとに、対応と再発防止を必ず」です。この記事では、まなぶが聞いたAさんの失敗ストーリーをもとに、ミスの謝り方で失敗しない方法を解説します。

1失敗ストーリー

最初の一言で、取引先を怒らせてしまったAさんの話

早朝の海沿いの釣り公園で、顔なじみのAさんからミスの謝り方の失敗談を聞くまなぶのイラスト

まなぶは、休みの日の早朝に、近所の海沿いの釣り公園へ出かけることがあります。そこでよく隣に並ぶのが、顔なじみのAさん(40代男性)です。Aさんは、印刷会社の営業として、スーパーや地元のお店のチラシを担当しています。ある朝、釣り糸を垂らしながら、Aさんは「謝り方ひとつで、取引先を一つ失いかけたことがあってね」と話し始めました。(登場する人物は、よくある失敗をもとに編集部が再現したものです)

数年前、Aさんが担当していた地元のスーパーの週末のチラシで、目玉の商品の値段がまちがって印刷されてしまいました。198円のはずの商品が、98円になっていたのです。原稿のデータからチラシの形に組み直すときに、数字の一部が抜けてしまったのが原因でした。金曜日の朝、スーパーの店長から電話がかかってきました。チラシを見たお客様が開店前から並び、店ではその値段で売るかどうかで大さわぎになっていました。

Aさんは、電話を取るなり言いました。「申し訳ありません。ただ、最初にいただいた原稿のデータが遅れていて、確認の時間があまり取れなかったものですから」。電話の向こうで、店長の声が一気に硬くなりました。「データが遅れたのは、こちらのせいだと言いたいんですか」。Aさんはあわてて「いえ、そういうわけでは」と言いかけましたが、店長の怒りはおさまりません。Aさんは「社内で確認して、折り返します」とだけ言って、電話を切ってしまったのです。

折り返しの電話をしたのは、お昼すぎでした。そのあいだ店長は、Aさんから何の連絡もないまま、お客様への対応に追われていました。結局、Aさんは上司と一緒にお店へ伺い、深く頭を下げました。上司は最初に「このたびは、弊社の確認もれでご迷惑をおかけし、申し訳ございません」と言い、店内に貼るおわびの文書の用意と、差額の負担の相談をその場で申し出ました。「最初の一言を、まちがえたんだよね」。Aさんは、静かな海を見ながら、そう話してくれました。

2原因分析

ミスの謝り方で失敗する5つの原因

1

おわびより先に、事情を話してしまった

ミスをした側が最初に事情を話すと、相手には「言い訳をしている」「人のせいにしている」と聞こえてしまいます。たとえ本当に事情があったとしても、相手が最初に聞きたいのは、それではありません。最初の一言は、「何が起きたか」と「おわび」だけにすることが大切です。事情は、相手から聞かれたときや、原因を説明するときに、落ち着いて伝えれば十分です。最初の一言で、そのあとの話し合いの空気が大きく変わります。

2

相手が今、何に困っているかを聞かなかった

ミスが起きたとき、相手はたいてい、目の前の困りごとへの対応に追われています。Aさんの場合、店長はお客様への対応で手いっぱいでした。おわびのあとに、「今、いちばんお困りのことは何でしょうか」と聞いて、すぐにできることを申し出ると、相手の負担を少しでも減らせます。謝ることと同じくらい、相手の困りごとを一緒に解決しようとする姿勢が大切です。

3

「確認します」だけで、次の連絡を約束しなかった

すぐに答えられないことがあっても、「確認します」とだけ言って電話を切ると、相手は「いつ連絡が来るのか」が分からないまま待つことになります。「11時までに、いったんご連絡します」と、次の連絡の時間を約束するだけで、相手の不安はずいぶん小さくなります。約束した時間までに答えが出なくても、その時間に一度、今の状況を伝えることが大切です。

4

一人で対応し、すぐに上司に伝えなかった

大きなミスほど、自分だけで判断できないことが出てきます。差額の負担や、おわびの文書を出すかどうかは、会社として決めることです。ミスが分かったら、相手に連絡するのと同時に、上司にもすぐ伝えるようにしましょう。上司が一緒に対応することで、相手にも「会社として受け止めている」と伝わります。自分一人でできる約束には限りがあるからこそ、早めに上司を巻きこむことが大切です。ミスの報告のしかたについては、仕事のミスを隠して後悔する理由でも紹介しています。

5

原因と、これからの防ぎ方を伝えていなかった

その場の対応が終わっても、相手が本当に知りたいのは「また同じことが起きないか」です。謝って終わりにせず、落ち着いてから、ミスの原因と、これからどう防ぐかを伝えましょう。Aさんの会社では後日、値段の欄だけを2人で原稿と見比べる手順を加え、そのことを店長に書面で報告しました。再発防止まで伝えて初めて、おわびは「終わった」と言えます。相手にとっても、次の仕事を安心して頼むための判断材料になります。

3図解

こじれる謝り方と、信頼を取り戻す謝り方の違い

⚠ ミスの謝り方で失敗する人のパターン
おわびより先に、事情や言い訳を話してしまう
↓
「確認します」とだけ言って、次の連絡を約束しない
↓
一人で抱え、原因や再発防止を伝えないまま終わる
↓
相手の怒りが大きくなり、取引そのものを失いかけてしまう
◎ ミスの謝り方が上手な人のパターン
最初に、何が起きたかとおわびを伝える
↓
相手の困りごとを聞き、次の連絡の時間を約束する
↓
上司と一緒に対応し、原因と再発防止を後日伝える
↓
相手の負担が小さくなり、信頼を取り戻すきっかけになる
4解決策

ミスの謝り方で失敗しないためのチェックリスト

ミスが分かったとき、相手に連絡する前に、次の項目を思い出してみてください。慌てているときほど、順番を決めておくことが助けになります。電話の前に、話す順番を紙に書き出しておくだけでも、落ち着いて話せるようになります。

  • 最初の一言は、何が起きたかとおわびだけにした
  • 事情は、聞かれたときや原因の説明のときに伝えると決めた
  • 相手が今、いちばん困っていることを聞いた
  • すぐにできる対応を、その場で申し出た
  • 「何時までに連絡します」と、次の連絡の時間を約束した
  • 相手への連絡と同時に、上司にも伝えた
  • 落ち着いてから、原因と再発防止を相手に伝えた

Aさんは今、ミスが分かったときに話す順番を、手帳の最初のページに書いています。「何が起きたか」「おわび」「お困りのこと」「次の連絡の時間」。そして電話を切ったら、すぐに上司に連絡します。あのスーパーとは、再発防止の報告のあと、少しずつ元の関係に戻り、今も毎週のチラシを任されているそうです。「ミスはゼロにはできない。でも、謝り方は練習できるんだよね」。Aさんは、大きくしなった竿を引き上げながら、笑っていました。

※ミスの内容によっては、おわびの方法や費用の負担について、会社としての判断や取り決めが必要になります。自分だけで約束せず、必ず上司や担当の部署に相談してください。
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ミスのあとの対応を落ち着いて進めるには、やることと約束した時間を見える化することと、チームでミスの情報を共有する仕組みを整えることが役立ちます。

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相手と約束した連絡の時間や、おわびのあとにやることを、期限つきで一覧にできるタイプです。慌ただしいときでも、次の連絡や再発防止の報告を忘れずに進められます。

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まなぶまなぶ
おわびより先に事情を話してしまったせいで、取引先をもっと怒らせてしまったなんて…。
みらいみらい
謝り方の基本は、事実とおわびを先に、事情はあとに、対応と再発防止を必ず、です。相手の困りごとを聞いて、次の連絡の時間を約束しましょう。上司にすぐ伝えることも忘れずに。
まなぶまなぶ
ミスはゼロにできなくても、謝り方は練習できるんですね。

ミスの謝り方で失敗する原因は、おわびより先に事情を話し、「確認します」とだけ言って、相手の困りごとや次の連絡、再発防止を伝えないまま終わらせてしまうことです。事実とおわびを先に、困りごとを聞き、次の連絡を約束し、上司と一緒に対応し、原因と防ぎ方を伝える。それだけで、ミスのあとでも信頼を取り戻すことができます。仕事の進め方とミスへの対応で失敗しないための考え方は、仕事の進め方とミス対応の失敗から学ぶでまとめています。

仕事の進め方・ミス対応については、仕事でメモを取らずに後悔する理由やメールの誤送信で後悔する理由もあわせて読んでみてください。

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