結論

内定承諾の返事を先延ばしにして後悔する人の多くは、ほかの会社の結果を待ちたい気持ちから、回答期限ぎりぎりまで何も連絡せず、相手を待たせたままにしてしまう人です。企業は、内定を出した人の返事を待つあいだ、ほかの候補者への連絡も止めています。連絡のないまま期限を迎えると、内定先からの信頼を失い、最悪の場合はすべての選択肢を失うことにもなります。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、内定承諾の返事を先延ばしにして後悔する理由と、上手な保留の伝え方を解説します。

1失敗ストーリー

待っているあいだに、両方を失った

内定先と本命の会社の両方を失ったと知り、夕方の空いた小会議室でスマホを手にうなだれるまなぶのイラスト

以前の転職活動で、まなぶはB社から内定をもらいました。条件も悪くなく、仕事内容にも興味がある会社です。ただ、本命のA社の最終面接が、ちょうど10日後に控えていました。B社の担当者からは「1週間以内にお返事をいただけますか」と言われ、まなぶは「承知しました」とだけ答えて電話を切りました。

「A社の結果が出るまで、なんとか引き延ばせないかな」。そう考えながらも、まなぶはB社に何も連絡しないまま、日にちだけが過ぎていきました。A社の選考が進んでいることを伝えたら、印象が悪くなるかもしれない。そう思うと、電話をかける気になれなかったのです。

B社の担当者からの「その後いかがですか」というメールにも、まなぶは「もう少し考えさせてください」とだけ返していました。期限の当日の夕方、まなぶはようやくB社に電話をかけました。「すみません、もう少しだけお時間をいただけないでしょうか」。担当者は少し黙ったあと、こう言いました。「事前にご相談いただければ調整もできたのですが…。社内で確認して、改めてご連絡します」。翌日届いたメールには、ほかの候補者で採用を進めることになったと書かれていました。

それから数日後、A社の最終面接の結果が届きました。結果は不合格。まなぶは会社の空いた小会議室で、スマホの画面を見つめたまま、しばらく動けませんでした。どちらかを選ぶつもりが、どちらも失っていた。B社を待たせていたあいだ、自分がどれだけ相手に迷惑をかけていたのかにも、そのとき初めて思い至りました。

あとで転職エージェントの経験がある友人に話すと、「保留したいなら、最初の電話のときに、ほかの選考の状況と返事ができる日を正直に伝えればよかったんだよ。そういう相談はよくあることだから」と言われました。まなぶが恐れていた「正直に話すこと」こそが、いちばんの近道だったのです。

2原因分析

内定承諾の返事を先延ばしにして後悔する理由

1

回答期限の意味を軽く考えている

企業が内定の回答期限を決めているのは、採用の計画を立てるためです。返事を待つあいだ、ほかの候補者への連絡を止めていることもあります。期限は「その日までは何もしなくていい日」ではなく、「その日までに必ず結論を伝える日」です。この意味を軽く考えていると、期限の直前になって慌てることになります。期限まで連絡がないと、企業は「入社する気がないのでは」と受け取ることもあります。返事の内容が決まっていなくても、途中で一度連絡を入れておくだけで、相手の受け止め方は大きく変わります。

2

保留の相談を、期限ぎりぎりまでしない

ほかの会社の結果を待ちたいなら、保留をお願いすること自体は、決して珍しいことではありません。問題は、その相談をするタイミングです。期限の当日に「もう少し待ってほしい」と言われても、企業は調整のしようがありません。保留をお願いするなら、内定の連絡を受けたその場か、遅くとも数日以内に相談するのが基本です。早く相談すれば、企業もほかの候補者との調整を考える時間がとれるため、応じてもらえる可能性が高くなります。

3

ほかの選考の状況を正直に伝えない

ほかの会社の選考が進んでいることを伝えると、印象が悪くなるのではと心配になります。しかし、企業も、応募者が複数の会社を受けていることは分かっています。「〇日に別の会社の最終面接があり、その結果を踏まえて〇日までにお返事したい」と具体的に伝えるほうが、誠実に受け取られます。隠したまま引き延ばすほうが、信頼を失いやすいのです。正直に伝えたうえで「御社に強く関心がある」と添えれば、入社への前向きな気持ちもきちんと伝わります。

4

自分の判断の軸を決めていない

返事を先延ばしにしてしまう理由の一つは、何を基準に選ぶのかが決まっていないことです。仕事内容、年収、働き方、成長の機会など、自分にとって大切な軸が決まっていれば、ほかの結果を待たなくても判断できることもあります。軸が決まっていれば、待つべきか、今決めるべきかの判断もしやすくなります。本命の会社の結果を待つ価値が本当にあるのかを、軸に照らして一度考えてみましょう。複数の内定の比べ方で迷った話は、複数内定から選べず後悔する理由で紹介しています。

5

承諾したあとの辞退の重さを考えていない

「とりあえず承諾しておいて、本命が受かったら辞退すればいい」と考える人もいます。しかし、承諾後の辞退は、企業にとって大きな負担になり、トラブルのもとにもなります。承諾の返事は、入社する意思を固めたうえで伝えるものと考えましょう。迷いがあるなら、承諾してから悩むのではなく、承諾の前に正直に相談するほうが、自分にとっても相手にとっても負担が少なくなります。内定を辞退するときの注意点は、内定辞退で失敗する人の特徴5選で紹介しています。

3図解

返事を先延ばしにして後悔する人と、誠実に保留できる人の違い

⚠ 内定承諾の返事を先延ばしにして後悔する人のパターン
ほかの選考の結果を待ちたいのに、何も伝えずに電話を切る
↓
期限の当日になって、ようやく保留をお願いする
↓
内定先は別の候補者で採用を進め、本命の結果も不合格
↓
どちらも失い、内定先からの信頼も損ねてしまう
◎ 誠実に保留できる人のパターン
内定の連絡を受けたら、まず感謝を伝え、回答期限を確かめる
↓
保留したいなら、ほかの選考の状況と返事ができる日を具体的に伝える
↓
自分の判断の軸で比べ、決めた日までに必ず結論を伝える
↓
選択肢を残しながら、どの会社とも良い関係を保てる
4解決策

内定承諾の返事で後悔しないためのチェックリスト

内定の連絡は、うれしさと迷いが同時にやってくるものです。その場で慌てないよう、次の項目を準備しておきましょう。

  • 内定の連絡を受けたら、まず感謝を伝え、回答期限を確認している
  • 保留したい場合は、内定の連絡を受けてから数日以内に相談すると決めている
  • ほかの選考の状況と、返事ができる日を具体的に伝えられるようにしている
  • 仕事内容・年収・働き方など、自分の判断の軸を書き出している
  • 承諾は、入社する意思を固めてから伝えると決めている
  • 期限までに決められないと分かったら、すぐに連絡すると決めている

保留をお願いするときは、「内定のご連絡をいただき、ありがとうございます。実は別の会社の最終面接が〇日にあり、その結果を踏まえて、〇日までにお返事させていただけないでしょうか」のように、感謝・正直な状況・具体的な日付の3つを伝えるのが基本です。企業によっては難しいと言われることもありますが、その場合でも、早めに相談したことで、判断に必要な情報がそろいます。まなぶは次の転職活動から、内定の連絡を受けたその日のうちに、判断の軸と選考状況を整理して返事の予定を伝えるようにしました。

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まなぶまなぶ
本命の結果を待ちたくて連絡を先延ばしにしていたら、両方とも失ってしまいました…。
みらいみらい
保留したいときは、内定の連絡を受けてすぐに、ほかの選考の状況と返事ができる日を正直に伝えましょう。期限の当日では、相手も調整できません。
まなぶまなぶ
次は判断の軸を先に決めて、相談はその日のうちにします!

内定承諾の返事を先延ばしにして後悔する原因は、迷うことそのものではなく、迷っていることを伝えずに時間だけが過ぎてしまうことです。期限を確かめ、保留したいなら早めに正直に相談し、自分の軸で結論を出す。その誠実さが、選択肢を守ることにつながります。内定から退職までの流れ全体で失敗しないための考え方は、内定から退職までの失敗から学ぶでまとめています。

転職そのもので後悔しないためのポイントは、転職して後悔した人の特徴7選もあわせて読んでみてください。

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