継続案件の単価交渉で後悔する理由
継続案件の単価交渉で後悔する人は、不満を長くため込んだすえに、根拠も準備もないまま一方的に大きな値上げを伝えてしまうことが少なくありません。お客さまにとって突然の値上げは、予算の都合を無視した「通告」に見えてしまいます。単価交渉は「お願い」ではなく「これからも続けるための相談」。作業量の変化を数字で示し、相手の予算の時期に合わせ、いくつかの選択肢を用意して話し合う。その準備が、関係を守りながら報酬を見直すための近道です。
1年半ぶりの値上げを伝えたら、依頼が月1本に減った話
まなぶは副業で、ある中小企業の営業資料づくりを請け負っています。知り合いの紹介で始まった仕事で、1本8,000円、月に4本ほど。担当者の方とも気心が知れ、毎月安定した収入になっていました。
ところが、1年が過ぎるころには、仕事の中身が大きく変わっていました。最初は文字中心の資料だったのが、グラフや図解を入れてほしいという依頼が増え、修正のやり取りも多くなりました。1本にかかる時間は、始めたころの2倍近くになっていました。夜遅くまで資料を直していると、「この金額でここまでやるのか」という思いが、少しずつ胸の中にたまっていきました。
そんな中、別の会社から新しく依頼された同じような資料づくりは、1本2万円でした。「今の仕事、安すぎるんじゃないか」。そう思いながらも、まなぶはなかなか言い出せませんでした。「値上げをお願いしたら、仕事がなくなるかもしれない」。そう考えるうちに、さらに半年がたちました。
ある晩、立て続けに修正の依頼が届いたことで、まなぶの中で何かが切れました。その夜のうちに、担当者にメッセージを送りました。「大変恐縮ですが、来月から1本15,000円でお願いできますでしょうか」。これまでの事情も、理由の説明もない、短いメッセージでした。
数日後、担当者とのオンライン打ち合わせで、まなぶは言われました。「正直、驚きました。今年度の予算はもう決まっていて、急に倍近くと言われても……。上に説明できる材料もないので、しばらくは月1本でお願いできますか」。担当者は困ったような顔をしていました。
月4本あった依頼は、月1本に減りました。単価は上がったものの、毎月の収入は半分以下です。まなぶは、画面が消えたあともしばらく動けませんでした。値上げを伝えたことではなく、伝え方とタイミングを間違えていたのだと、ようやく気づいたのです。
継続案件の単価交渉で後悔する理由
不満をため込み、限界になってから大幅な値上げを伝えている
まなぶは、作業量が増えていると感じながらも、1年半ものあいだ何も伝えずにいました。その結果、気持ちが限界に達したところで、一気に倍近い値上げを求めることになりました。お客さまの側から見れば、昨日まで何の問題もなかった取引で、突然大きな変更を求められたことになります。作業量や条件が変わったと感じたら、小さいうちに早めに相談することが、お互いの負担を軽くします。
値上げの根拠を、数字で示していない
「安すぎると思う」というのは、あくまでこちらの気持ちです。担当者が社内で値上げを説明するためには、納得できる材料が必要です。始めたころと比べて1本あたりの作業時間がどれだけ増えたのか、グラフや図解の追加、修正の回数がどう変わったのか。作業内容の変化を、具体的な数字で示すことで、担当者も社内に説明しやすくなります。根拠のある相談は、わがままではなく、仕事の見直しとして受け止めてもらえます。
相手の予算が決まる時期を考えていない
多くの会社では、年度ごとに使えるお金が決まっています。予算が決まったあとに大きな値上げを求められても、担当者の一存では応えられないことがほとんどです。まなぶのメッセージは、まさに年度の途中に届きました。相手の予算を組む時期を確認し、その前に相談するだけで、交渉がまとまる可能性はぐっと高まります。来年度からの見直しとして提案すれば、相手も準備をする時間がとれます。予算の時期は、ふだんのやり取りの中で「来年度の計画はいつごろ決まるんですか」と聞いておくだけで分かることも多いものです。
メッセージだけで、一方的に通知している
夜に短いメッセージで値上げを伝えたことで、相手には「相談」ではなく「通告」として受け取られてしまいました。長く続いてきた取引だからこそ、大切な話は顔を合わせて、またはオンラインで直接伝えたほうが誤解を生みにくくなります。感謝の気持ちや、これからも続けたいという思いを先に伝えたうえで、条件の相談に入る。この順番だけでも、相手の受け止め方は大きく変わります。また、気持ちが高ぶっている夜にメッセージを書いたら、すぐに送らず一晩おいて読み返す習慣をつけておくと、勢いだけの連絡を防げます。
値上げ以外の選択肢を用意していない
まなぶが示したのは、「1本15,000円」という一つの答えだけでした。相手にとっては、受け入れるか、依頼を減らすかの二択になってしまいます。たとえば、図解の多い資料と文字中心の資料で料金を分ける、修正は2回まで含める、来年度から段階的に上げるなど、いくつかの案があれば、相手も予算に合わせて選ぶことができます。選択肢を用意することは、相手の事情に歩み寄る姿勢を示すことでもあります。
後悔する単価交渉と、うまくいく単価交渉の違い
2つの交渉の違いは、言い出す勇気の大きさではありません。単価交渉を「我慢の限界で伝えるもの」と考えるか、「これからも続けるための相談」と考えるかの違いです。
継続案件で上手に単価を見直している人は、日ごろから作業時間や依頼内容の変化を記録しています。そして、相手の予算の時期を意識しながら、感謝と一緒に条件の相談を切り出しています。準備が整っていれば、値上げの相談は特別なことではなく、取引を長く続けるための自然な話し合いになるのです。
継続案件の単価を見直す前にチェックしたいこと
- 1本あたりの作業時間・修正回数・依頼内容の変化を記録しておく
- 始めたころと今を比べて、何がどれだけ増えたかを数字でまとめる
- 相手の会社の予算を組む時期を、さりげなく確認しておく
- 値上げ額は一度に大きくせず、段階的な見直しも検討する
- 料金の分け方や作業範囲の調整など、複数の案を用意する
- 大切な相談は、メッセージだけでなく直接話す場を設ける
まずは「この3か月の作業時間と修正回数を書き出してみる」ことから始めてみてください。数字がそろうと、自分の感覚が正しいのかどうかが分かり、相談するときの自信にもなります。値上げを切り出すかどうかは、その数字を見てから決めても遅くありません。同じ分野の案件の相場も調べておけば、提案する金額にも根拠を持たせられます。
継続案件は、副業の収入を安定させてくれる大切な存在です。だからこそ、報酬の見直しも、関係を壊さないように丁寧に進める必要があります。早めに、根拠を持って、相手の事情に合わせて相談する。その積み重ねが、お互いに納得できる取引を長く続けるための土台になります。
継続案件の報酬を納得して見直したい人へ
日本最大級のクラウドソーシング【ランサーズ】
さまざまな分野の案件が募集されているタイプです。似た内容の仕事がどれくらいの報酬で募集されているかを見ることで、自分の今の単価が相場と比べてどうなのかを確かめやすくなります。値上げの根拠を考えるときの参考にしたい人に向いています。
フリーランス・キャリア相談サービス【ポテパンフリーランス】
自分のスキルの適正な価格帯や、単価交渉の進め方について相談できるタイプです。一人で悩まず、客観的な視点を取り入れられます。交渉の言葉選びまで具体的にアドバイスをもらえることもあります。
まなぶ
みらい継続案件の単価交渉で後悔する人は、不満をため込んだすえに、根拠も準備もないまま一方的に大幅な値上げを伝えてしまいがちです。作業量の変化を数字で示し、相手の予算の時期に合わせ、直接の話し合いで複数の選択肢を提示する。その準備が、大切なお客さまとの関係を守りながら、納得できる報酬へと見直していく近道になります。
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