カジュアル面談だけで転職して失敗した話
「カジュアル面談」は本来、選考の前段階として企業と気軽に情報交換する場です。しかし、この1回だけで意思決定に必要な情報が揃ったと錯覚し、正式な選考プロセスを省略してしまうと、入社後に大きなギャップに直面します。カジュアルな場だからこそ聞けること・聞けないことを見極め、必要な確認は選考プロセスの中であらためて行うという姿勢が、後悔しない転職につながります。
まなぶ、カジュアル面談の「気軽さ」に流される
まなぶは33歳。あるとき、SNS経由で知り合った企業の代表から「まずは選考とかは抜きに、カジュアルにお話ししませんか」とメッセージが届いた。堅苦しい面接ではなく、オンラインで30分ほど雑談する形式だという。まなぶは肩の力を抜いて話すことができ、代表の人柄の良さや事業への熱量にすっかり惹き込まれた。
その後もカジュアル面談は2回ほど重ねられたが、いずれも相手は同じ代表一人だった。まなぶは「これだけ何度も話して意気投合しているのだから、もう十分に会社のことは分かった」という手応えを感じていた。代表からも「うちに来てほしい」と熱心に誘われ、まなぶはとんとん拍子で入社を決めた。正式な履歴書・職務経歴書の提出や、複数人との面接、条件面をすり合わせる場は、結局一度も設けられなかった。
入社してみると、まなぶが一緒に働くことになるチームメンバーとは、この日が初対面だった。カジュアル面談で聞いていた「風通しの良い、裁量の大きいチーム」というイメージと異なり、実際には別の部署のリーダーが実務上の細かい指示を出す体制になっており、まなぶが期待していた裁量とは違う働き方だった。代表と話していた「事業への熱量」と、日々の現場での実務の進め方は、必ずしも一致しないのだと気づかされた。
さらに、給与の内訳についても、カジュアル面談の場では「業界水準は意識してます」という言葉を聞いただけで、基本給と各種手当の内訳、賞与の実績、昇給の基準といった具体的な条件を確認しないまま入社していた。実際に受け取った初任給の明細を見て、まなぶは想定していた金額との差に驚いた。「聞きにくい話だから」とカジュアル面談の場で避けてしまった話題ほど、後から効いてくることに、まなぶは身をもって気づかされた。
入社から数週間が経ったころ、まなぶは業務で必要になった別部署への確認作業をきっかけに、自分の担当範囲が当初思っていたよりもかなり限定的であることに気づいた。カジュアル面談で聞いていた「幅広く裁量を持って動ける」という話と、実際に割り振られた業務の範囲には、少なくない開きがあった。もちろん代表の話が嘘だったわけではないのだろうが、代表が語る会社の理想像と、現場で実際に運用されているルールのあいだには、まなぶが思っていた以上の距離があった。
同僚に転職活動の話をしたところ、「カジュアル面談はあくまで最初の顔合わせで、そのあとに何度か選考の場を設けるのが普通じゃない?」と言われ、まなぶは自分がその普通のプロセスを自分から省略してしまっていたことにようやく気づいた。「話が合う人と出会えた気がしたから、それで十分だと思い込んでいたんだ」と、まなぶはみらいに打ち明けた。
カジュアル面談だけで転職して後悔する6つの原因
「選考ではない」という気軽さに引っ張られ、聞きたいことを深く聞けなかった
カジュアル面談は選考ではないという前提があるからこそ、まなぶは踏み込んだ質問をすることに遠慮を感じていた。しかし、選考ではないからこそ、むしろ率直に疑問をぶつけやすい場でもある。この場の性質を都合よく解釈し、聞くべきことを後回しにしてしまっていた。
1回(または少数回)のカジュアル面談で、意思決定に必要な情報がすべて揃ったと錯覚していた
複数回のやり取りを重ねたことで、まなぶは「もう十分に会社のことを理解した」という手応えを感じていたが、それはあくまで代表一人との対話から得た情報にすぎなかった。会社全体の実態を把握するには、情報の量ではなく、情報の出どころの幅こそが重要だったことに気づけていなかった。
出会った1人の印象だけで、チーム全体の雰囲気や働き方を判断してしまっていた
代表個人の人柄の良さや熱意と、日々一緒に働くチームの雰囲気や実務の進め方は、必ずしもイコールではない。まなぶは代表との相性の良さをそのまま「この会社は自分に合う」という判断に置き換えてしまい、実際に机を並べることになるメンバーの声を一切聞かないまま入社を決めていた。
カジュアルな雰囲気に安心し、給与や待遇など条件面を踏み込んで確認しなかった
「カジュアルな場でお金の話を細かく聞くのは失礼ではないか」という遠慮から、まなぶは基本給の内訳や手当、賞与の実績、昇給の基準といった具体的な条件を確認しないまま話を進めてしまっていた。条件面の確認は、場の空気を壊す行為ではなく、双方にとって必要な合意形成の一部だという認識を持てていなかった。
正式な選考プロセスを経ていないため、企業側もまなぶを十分に評価できていない可能性を考えていなかった
選考プロセスは、応募者が企業を見極める場であると同時に、企業側が応募者のスキルや適性を確認する場でもある。まなぶはこのプロセスを自ら省略してしまったことで、企業側も自分の実務能力を十分に把握しないまま採用を決めていた可能性に気づいていなかった。入社後に実務レベルでの期待値のズレが生じたのは、この双方向の確認不足が一因だった。代表の熱意ある言葉を信じること自体は間違いではなかったが、それを裏付ける具体的な業務内容のすり合わせが、双方に足りていなかったと言える。
「話が合う人と出会えた」という感覚的な手応えを、客観的な判断材料と混同していた
まなぶは代表との会話の心地よさを、転職の意思決定における重要な判断材料として扱ってしまっていた。もちろん相性の良さも大切な要素の一つではあるが、それだけで具体的な業務内容・条件・チーム体制の確認を省略してよい理由にはならない。感覚的な手応えと、客観的に確認すべき事実は、切り分けて扱う必要があったと、まなぶは振り返る。
カジュアル面談との付き合い方、後悔するパターンと後悔しないパターン
カジュアル面談だけで転職を決めないためのチェックリスト
- カジュアル面談のあとに、正式な選考プロセス(複数人との面談等)を経ているか確認したか
- 代表・採用担当以外の、実際に一緒に働くメンバーと話す機会を持てたか
- 給与の内訳・手当・賞与実績・昇給基準など、条件面を具体的に確認したか
- 「話が合う」という感覚的な手応えと、客観的な事実確認を切り分けて考えたか
- カジュアル面談の場だからこそ、聞きにくいと感じる質問もあえて率直に聞いてみたか
カジュアル面談だけで判断しないために頼れるサービス
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たった3分の質問で、自分が仕事選びで本当に重視したい価値観を整理できるタイプです。「話が合う」という感覚だけに頼らず、自分の軸を先に言語化しておく助けになります。
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実際に働いた人の声から、求人票やカジュアル面談だけでは分からない社風や雰囲気を確認できるタイプです。代表一人との対話だけでは見えない、現場のリアルな空気を確認する材料として活用できます。
まなぶ
みらいカジュアル面談だけで転職を決めてしまう失敗は、「気軽な場だから」という理由で、本来必要な確認作業まで省略してしまうことから生まれます。正式な選考プロセスやチームメンバーとの対話の機会を、自分から求めていく姿勢が、後悔しない転職につながります。
転職の失敗は、転職手法そのものの選び方によってもさまざまな形で起こります。転職手法ごとに起こりやすい転職の失敗は、転職フェア・イベント参加の失敗から学ぶでも詳しく解説しているので、あわせて参考にしてください。
また、転職活動全般で後悔しやすいポイントについては転職して後悔した人の特徴7選もあわせてご覧ください。

