退職した年の住民税で失敗した話
退職した年の住民税で失敗する人は、住民税が「前の年の所得にかかる後払いの税金」だと知らないまま、退職後の生活費を組んでしまう人です。会社を辞めると、それまで給与から天引きされていた住民税を自分で払う形に変わることがあり、収入が途切れたタイミングで、まとまった額の納付書が届きます。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、退職した年の住民税で失敗する原因と、退職前に確認しておくべきポイントを解説します。
旅行から帰ったら、住民税の納付書が待っていた
2年前、まなぶは転職を決めました。前の会社は9月末で退職し、新しい会社には12月1日から入社することになりました。間の2か月は、久しぶりにまとまった休みです。「せっかくだから、ずっと行きたかった海外旅行に行こう」。退職交渉で疲れていたこともあり、まなぶは貯金を使って10日間の旅行を予約しました。
退職の手続きのとき、総務の担当者から「住民税は、このあとご自身で納めていただく形になります」と説明を受けていたはずです。でも、そのときのまなぶは引き継ぎのことで頭がいっぱいで、ほとんど聞き流していました。最後の給与明細も、振り込まれた金額だけ確認して閉じてしまいました。
旅行から帰ってきた10月の終わり。自宅アパートの郵便受けに、市役所からの封筒が入っていました。玄関で、まだ片づけていないキャリーケースの横で封を開けると、中には住民税の納付書。そこには、翌年5月までの残り8か月分の住民税、およそ13万円が、2回に分けて納めるように書かれていました。
「え、会社を辞めたのに、どうして住民税がこんなに?」。まなぶは玄関に立ったまま固まりました。収入がない2か月の間に、住民税だけでなく、国民健康保険と国民年金の手続きも必要だと知ったのは、そのあとです。旅行で減った貯金に、思わぬ支払いが一気にのしかかりました。お土産の紙袋を玄関に置いたまま、まなぶはしばらくその場から動けませんでした。
新しい会社の初任給が入るのは、12月の終わりです。それまでの生活費と税金・保険料を計算し直すと、手元のお金はぎりぎりでした。辞めればお金の出ていく先も減ると思っていたのに、実際は「辞めたあとにも払うもの」がたくさん残っていた。まなぶは、退職前にお金の流れを確認しなかったことを深く後悔しました。
退職した年の住民税で失敗した原因
住民税が「後払い」だと知らない
所得税は毎月の給与から天引きされ、その年のうちに精算されます。一方の住民税は、前の年(1〜12月)の所得をもとに計算され、その年の6月から翌年5月にかけて納めるしくみです。つまり、会社を辞めて収入がなくなっても、前の年に働いた分の住民税は残っています。この「後払い」の感覚がないと、退職後に届く納付書に驚くことになります。退職した翌年も、前の年の所得に住民税がかかる点は同じです。たとえば会社を辞めて1年間休んだ場合でも、翌年の6月には、退職した年に働いた分の住民税の通知が届きます。「収入がない時期に、働いていた時期の税金を払う」というズレがあることを、退職を考える段階で知っておくことが大切です。
退職する月で払い方が変わることを確認しない
会社員の住民税は、ふつう給与からの天引き(特別徴収)で納めています。退職すると、この払い方が変わります。一般的に、1〜4月に退職した場合は、5月分までの残りが最後の給与や退職金からまとめて天引きされます。6〜12月に退職した場合は、本人の申し出によって残りをまとめて天引きしてもらうか、自分で納付書や口座振替で払う形(普通徴収)に切り替えるかになります。まなぶは9月末の退職だったため、普通徴収に切り替わり、残りが納付書で届いたのです。
最後の給与明細や退職時の説明を確認しない
退職時には、住民税の残りをどう扱うかについて会社から説明があることが多く、最後の給与明細にも天引きの内容が書かれています。ここを確認していれば、「残りは自分で払う」「いくら残っている」ことが分かったはずです。退職の手続きは、引き継ぎや送別会の陰で、お金の説明が聞き流されがちです。退職そのものの進め方でつまずいた話は、退職交渉で後悔する理由で紹介しています。
空白期間の健康保険と年金を見落とす
退職日の翌日から次の会社に入社するまでの間は、会社の健康保険や厚生年金から外れます。この期間は、国民健康保険に入るか、前の会社の健康保険を任意継続するか、家族の扶養に入るかを選び、年金も国民年金に切り替える手続きが必要です。住民税だけでなく、こうした保険料も「辞めたあとに自分で払うもの」として生活費に入れておかないと、まなぶのように支払いが一度に重なってしまいます。
退職後の生活費に税金・保険料を入れていない
退職後の計画を立てるとき、多くの人は家賃や食費、旅行や引っ越しの費用は考えても、税金や保険料は忘れがちです。給与天引きに慣れていると、税金や保険料が「自分で払うもの」だという感覚が薄くなるからです。転職先が決まっていても、初任給が入るまでには時間差があります。入社した月の給与が翌月払いの会社なら、空白期間はさらに長く感じるはずです。急な支払いに備えるお金の考え方は、生活防衛資金を用意せずに後悔する理由でも紹介しています。
退職後にあわてる人と、落ち着いて迎える人の違い
退職前に確認しておきたいチェックリスト
住民税は、金額そのものよりも「いつ、どうやって払うのか」を知らないことで失敗につながります。退職を決めたら、次の項目を確認しておきましょう。
- 今年の住民税の年額と、退職時点で残っている金額を確認した
- 退職月によって、一括天引きか自分で払うかが変わることを理解している
- 6〜12月に退職するなら、一括で天引きしてもらうか、自分で払うかを決めた
- すぐに転職する場合、新しい会社で天引きを続けられるか相談した
- 空白期間の健康保険(国民健康保険・任意継続・家族の扶養)と国民年金の手続きを調べた
- 税金と保険料を取り分けたうえで、退職後に使えるお金を計算した
まなぶの場合、12月に新しい会社に入社したあと、総務の担当者に相談し、残りの住民税を給与からの天引きに戻してもらう手続きをしました。まだ納期が来ていない分については、こうした切り替えができる場合があります。「自分で払う形になったら、ずっとそのまま」とは限らないので、入社時に一度確認してみるとよいでしょう。手続きの細かい流れは自治体や会社によって違うため、迷ったら住んでいる市区町村の税務担当窓口に問い合わせるのが確実です。
退職後のお金で困らないために
退職した年のお金の失敗は、空白期間の長さと、その間の資金計画で大きく変わります。転職の進め方とお金の計画、両方から備えておくと安心です。
転職成功実績1万【リクルートエージェント】
求人数が多く、業界を横断して幅広い選択肢を比較できるタイプ。退職日と入社日の調整も含めて相談しながら進められるため、収入が途切れる空白期間を必要以上に長くしない計画が立てやすくなります。まず全体像を把握したい人に向いています。
ライフプランニング相談・FP相談サービス【マネードクター】
将来のライフイベントを踏まえた資金計画を相談できるタイプです。転職や退職のタイミングで、税金や保険料を含めた支出の見通しを第三者と一緒に整理できます。転職や住宅購入など、具体的なイベントを踏まえたアドバイスをもらえることもあります。
まなぶ
みらい
まなぶ退職した年の住民税で困るかどうかは、退職前の確認ひとつで変わります。いくら残っていて、いつ、どうやって払うのか。空白期間の保険料はいくらかかるのか。この2つを押さえてから退職後の計画を立てれば、納付書が届いてもあわてずに済みます。税金の手続き全体で損をしないための考え方は、税金の手続きで損する失敗から学ぶでまとめています。
お金の失敗を全体から見直したい人は、NISAで失敗する人の特徴もあわせて読んでみてください。

