結論

子育て中の転職で後悔する人に共通するのは、仕事選びの視点が甘かったことよりも、「残業なし」「時短勤務可」といった制度の”建前”だけを見て、実際の運用実態を確認する一手間を省いてしまうことです。子どもの急な体調不良への対応や、周囲の理解度といった、制度の裏側にある実態を確かめないまま転職を決めてしまうと、入社後に「聞いていた話と違う」という後悔につながります。本記事では、子育て中の転職で後悔する人に共通する理由と、後悔しないための確認の仕方を、まなぶが相談を受けたAさんの失敗ストーリーとともに解説します。

1失敗ストーリー

まなぶ、Aさんから聞いた「制度はあったのに」という後悔

夕方の公園のベンチで、まなぶが子育て中のAさんから転職の後悔について相談を受けている挿絵

まなぶの元同僚だったAさん(30代女性、保育園に通う子どもがいる)から、久しぶりに連絡があった。「ちょっと聞いてほしいことがあって」。近くのカフェで向かい合うと、Aさんはコーヒーカップを両手で包みながら、静かに話し始めた。

Aさんは半年前、育児と両立しやすい環境を求めて転職したばかりだった。前の職場では急な残業が多く、保育園のお迎えに間に合わない日が続き、そのたびに両親や一時保育に頼っていた。「今度こそ、無理なく続けられる環境を選びたい」という思いで、Aさんは転職活動を始めた。

転職先の求人票には「残業なしを推進」「時短勤務制度あり」という言葉が並んでいた。面接でも、人事担当者は「子育てにはとても理解のある会社です」と繰り返し伝えてくれたという。Aさんはその言葉を聞いて、ようやく肩の力が抜けるような安心感を覚えた。制度があると明記されている以上、大きな問題は起きないだろうと考え、詳しい運用実態までは踏み込んで質問せずに、内定を承諾した。

「制度があるって書いてあったし、面接でもそう言ってもらえたから、大丈夫だろうって思ってたんだよね」。Aさんはそう振り返りながら、少し苦笑いを浮かべた。

入社してみると、時短勤務制度自体は確かに存在していた。しかし、実際に時短を利用している社員は社内にほとんどおらず、Aさんが最初の利用者に近い立場になった。周囲は「制度は知っているけれど、実際の運用には慣れていない」という状態で、急な早退や休みの相談をするたびに、気まずい空気を感じるようになった。

特に苦しかったのは、子どもが発熱したときの対応だった。「誰に、どのタイミングで、どう連絡すればいいのか」という具体的なフローが、入社前にはまったく確認できていなかった。上司は表向き「もちろん大丈夫ですよ」と言ってくれるものの、電話をかけるたびに周囲の視線を感じ、毎回申し訳なさを感じながら休みを申請することになり、次第に精神的な負担が積み重なっていった。急なお迎え要請の電話が鳴るたび、まず頭に浮かぶのは子どもの心配よりも先に「今日はどう伝えれば角が立たないか」という不安だったという。

「制度が”ある”ことと、その制度が”使いやすい空気があるかどうか”は、まったく別の話だったんだなって、入ってから思い知った」。Aさんはそう言って、コーヒーカップに視線を落とした。まなぶは、その言葉を静かに受け止めながら、Aさんの話に真剣に耳を傾けていた。

2原因分析

なぜ子育て中の転職で後悔する人が多いのか

1

制度の有無だけを見て、実際の運用実態を確認しない

求人票に「時短勤務可」「残業なし」と書かれていても、その制度が実際にどれだけ活用されているか、社内でどう受け止められているかまでは分かりません。制度の存在を確認するだけでなく、実際に利用している社員がいるか、周囲の理解度はどうかといった運用面まで踏み込んで確認する姿勢が欠かせません。「制度がある=使いやすい」とは限らないという前提を持っておくことが大切です。制度を導入した時期や、利用者数の推移について尋ねてみるのも、実態を把握する有効な手がかりになります。

2

同じ立場の先輩社員に、実際の働き方をヒアリングしない

面接官や人事担当者の言葉だけでなく、実際に子育てをしながら働いている社員の声を聞くことで、制度の”実態”がより具体的に見えてきます。面接の場で「実際に時短勤務を利用している社員と話す機会はありますか」と尋ねてみるだけでも、企業側の姿勢や社内の実情を推し量るヒントになります。可能であれば、カジュアル面談などの機会を活用して、率直な声を聞かせてもらうとよいでしょう。

3

急な体調不良時の対応フローを事前に確認しない

子どもの急な発熱や体調不良は、子育て中であれば避けられない出来事です。「そのときどう対応するのか」という具体的なフローを、入社前に確認しておくかどうかで、実際に直面したときの負担は大きく変わります。誰に、どのタイミングで連絡するのか、周囲の理解や協力体制はどの程度あるのかを、あらかじめ確認しておくことが、後悔を防ぐ大きな備えになります。

4

「理解がある」という言葉を、具体的な事例で裏付けない

「子育てに理解がある会社です」という言葉は、面接の場では前向きに受け止めたくなるものですが、その言葉が具体的にどんな事例に基づいているのかまで確認しないと、実態とのズレに気づけません。「理解がある」と感じた具体的なエピソードを尋ねてみることで、その言葉がどれだけ実質を伴っているかを判断しやすくなります。抽象的な言葉ほど、具体例に落とし込んで確認する習慣が重要です。

5

自分一人の希望条件だけで決め、家族との共有やバックアップ体制を整えない

転職先を選ぶ際、勤務条件や制度面ばかりに意識が向きがちですが、実際に働き始めてからは、パートナーや家族との協力体制、急な対応が必要になったときのバックアップ手段も同じくらい重要になります。転職の判断を自分一人で抱え込まず、家族と条件をすり合わせ、緊急時にどう対応するかを事前に話し合っておくことで、入社後の負担を大きく減らすことができます。一時保育やファミリーサポートなど、職場の制度とは別の外部の選択肢もあらかじめ調べておくと、いざというときの安心材料になります。

3図解

子育て中の転職で後悔する人と、納得して両立できる人の違い

⚠ 子育て中の転職で後悔する人のパターン
制度の有無だけを見て、実際の運用実態を確認しない
先輩社員へのヒアリングをせず、面接の言葉だけを頼りにする
急な体調不良時の対応フローを確認しないまま入社する
入社後、制度と実態のギャップに苦しみ後悔する
◎ 納得して両立できる人のパターン
制度の運用実態や利用者の有無まで踏み込んで確認する
実際に子育てしながら働く社員の声をヒアリングする
体調不良時の対応フローや協力体制を事前に確認・共有する
制度と実態のギャップを小さくしたうえで両立できる
4解決策

子育て中の転職で後悔しないための5つのチェックリスト

  • 制度の有無だけでなく、実際の利用実態や周囲の理解度まで確認する
  • 実際に子育てしながら働いている社員の声を聞く機会を作る
  • 急な体調不良時の連絡フロー・対応体制を入社前に確認する
  • 「理解がある」という言葉は、具体的な事例で裏付けを取る
  • 家族と条件をすり合わせ、緊急時のバックアップ体制を整えておく
求人票や面接で語られる子育て支援制度の多くは、決して嘘ではありません。ただし、その制度が実際にどう運用されているかまで確認しないと、入社後に「制度はあったのに、使いにくかった」という後悔につながります。
5おすすめサービス

子育て中の転職で後悔しないために頼れるサービス

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求人数が多く、業界を横断して幅広い選択肢を比較できるタイプ。子育てとの両立を重視する条件を伝えたうえで、専任アドバイザーに求人を絞り込んでもらえます。制度の有無だけでなく、実際の運用状況についても、企業とのやり取りの中で確認してもらいやすいのが利点です。

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実際に働いた人の声から、求人票だけでは分からない社風や制度の運用実態を確認できるタイプです。時短勤務や急な休みへの理解度など、子育てとの両立に関わる具体的な口コミを確認したいときに活用しやすいサービスです。複数の口コミを横断的に見比べることで、一人の意見に振り回されずに実態を把握できます。

口コミを見てみる

まなぶまなぶ
制度は”ある”ことと、”使いやすい空気があるかどうか”は、まったく別の話だったんだな……
みらいみらい
制度の有無だけでなく、実際にどう運用されているかまで確認する一手間が、入社後の後悔を防いでくれますよ。

子育て中の転職では、「残業なし」「時短勤務可」といった制度の言葉に安心してしまいがちですが、その制度が実際にどう運用され、周囲にどう受け止められているかまでは、外からは見えません。制度の有無だけで判断せず、実際に利用している社員の声を聞くこと、急な体調不良時の対応フローを確認すること、家族との協力体制を整えておくこと。この一手間の積み重ねが、入社後の「聞いていた話と違う」という後悔を防ぎ、仕事と育児を納得感を持って両立するための土台になります。転職全般で確認不足による後悔については転職して後悔した人の特徴7選でも詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。

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