結論

医療費控除を申告せずに後悔する人は、「会社員だから確定申告は関係ない」「10万円を超えないと意味がない」と思い込み、自分の医療費を一度も合計していない人です。医療費控除は年末調整では受けられず、自分で申告しない限り1円も戻ってきません。この記事では、まなぶの失敗ストーリーをもとに、医療費控除を申告せずに後悔する理由5つと、レシートを捨ててしまった後でも取り戻せる方法を解説します。

1失敗ストーリー

「どうせ少額だから」と捨てたレシートの山

社員食堂で同僚から医療費控除で税金が戻った話を聞き、箸を止めて驚くまなぶのイラスト

その年のまなぶは、とにかく病院に縁がありました。春は花粉症で耳鼻科に通い、夏には親知らずを抜いて、そのまま虫歯の治療で歯医者に何度も通いました。秋には胃腸炎で内科にかかり、検査も受けています。通院のたびに電車に乗り、薬局で薬を受け取り、財布にはいつもレシートがたまっていました。

年末の大掃除の日、まなぶは財布と机の上のレシートをまとめてゴミ袋へ入れました。「医療費控除って、10万円を超えないと使えないんでしょ。それに会社員だから確定申告なんて関係ないし」。病院や薬局のレシートも、ほかの買い物のレシートと一緒に処分してしまったのです。

翌年の2月、社員食堂で同僚が楽しそうに話していました。「医療費控除を申告したら、2万円くらい戻ってきたよ。家族の分も合わせられるんだって」。まなぶの箸が止まります。「えっ、会社員でもできるの?」「むしろ会社員こそ、年末調整ではできないから自分で申告するんだよ」。

家に帰ってスマホで調べると、まなぶの医療費は歯医者だけでも数万円、通院の電車代や薬局の薬まで足すと、10万円を超えていた可能性が高いことが分かりました。でも、その証拠になるレシートはもう手元にありません。「どうせ少額だから」と思って、計算もせずに捨ててしまったことを、まなぶは心から後悔しました。

ところが、話はここで終わりませんでした。調べていくうちに、レシートがなくても医療費を確認できる方法があること、そして申告は5年さかのぼってできることを知ったのです。

その週末、まなぶはマイナポータルにログインし、保険診療で払った医療費の一覧を確認しました。歯医者、耳鼻科、内科と、通った病院の名前と金額がずらりと並んでいます。そこに、手帳のスケジュールから思い出した通院の電車代を書き足していくと、合計は10万円を少し超えていました。「捨てたから終わり」ではなかったことに、まなぶは胸をなでおろしました。同時に、もっと早く合計してみればよかったという気持ちも強く残りました。

2原因分析

医療費控除を申告せずに後悔する理由

1

「会社員には確定申告は関係ない」と思い込んでいる

会社員の税金は年末調整で精算されますが、医療費控除は年末調整の対象外です。会社員が医療費控除を受けるには、自分で確定申告(還付申告)をする必要があります。「確定申告は自営業や副業をしている人のもの」というイメージが、申告の機会そのものを見えなくしてしまいます。年末調整で何が反映されないかは、年末調整で失敗する人の特徴5選でも紹介しています。

2

「10万円を超えないと無理」と決めつけて合計していない

医療費控除は、1年間(1月〜12月)の医療費から保険金などで補てんされた分を引き、さらに10万円を引いた額が控除の対象になります。ただし、総所得金額等が200万円未満の人は、10万円ではなく所得の5%を超えた分が対象です。しかも自分と生計を一にする家族の医療費は合算できます。歯の治療、薬局の薬、通院の電車代まで足すと、思ったより大きな金額になることは珍しくありません。たとえば歯の治療で5万円、内科と耳鼻科で3万円、薬局の薬で1万5千円、通院の電車代で数千円と積み上げていくと、それだけで10万円近くになります。合計してみる前に「どうせ届かない」と決めつけるのが、いちばんもったいないパターンです。

3

レシートや領収書を捨ててしまう

医療費控除の申告では、領収書そのものを提出する必要はありませんが、明細書を作る根拠として自宅で5年間保管しておくことが求められます。まなぶのように、年末にまとめて捨ててしまうと、どこにいくら払ったか分からなくなります。病院や薬局のレシートは、ほかの買い物とは分けて1つの封筒に入れておくだけで、申告の手間は大きく減ります。

4

何が対象になるかを知らない

治療のための診察や薬代のほか、通院のための電車やバスの運賃も対象になります。一方で、美容目的の施術、異常がなかった健康診断、予防のためのサプリメントなどは対象外です。また、ドラッグストアで買った特定の市販薬が年間1万2千円を超えた場合に使える「セルフメディケーション税制」という特例もあり、医療費控除とどちらか一方を選んで使えます。対象を知らないと、申告できるものまで「どうせ無理」と見送ってしまいます。

5

期限が過ぎたと思ってあきらめる

「確定申告の時期はもう終わったから」とあきらめる人も多いのですが、会社員が税金を取り戻すための還付申告は、対象の年の翌年1月1日から5年間受け付けています。去年の分だけでなく、数年前の分もさかのぼって申告できる可能性があります。出産や入院、家族の通院が重なった年など、思い当たる年があれば一度見直してみる価値があります。知らずにあきらめてしまうことこそが、医療費控除でいちばん後悔する理由です。

3図解

申告しない人と、取り戻せる人の違い

⚠ 医療費控除で後悔する人のパターン
会社員には関係ないと思い込む
↓
医療費を合計せず、10万円に届かないと決めつける
↓
年末にレシートをまとめて捨てる
↓
戻るはずだった税金を受け取れないまま終わる
◎ 医療費控除を取り戻せる人のパターン
病院・薬局のレシートを1つの封筒にまとめる
↓
年明けに家族の分も含めて1年分を合計する
↓
対象になりそうなら還付申告をする
↓
払いすぎた税金が戻り、数年前の分もさかのぼって確認できる
4解決策

医療費控除で後悔しないためのチェックリスト

レシートを捨ててしまっても、医療費を確認する方法はあります。健康保険組合などから届く「医療費のお知らせ(医療費通知)」は、申告の明細書の代わりに添付できます。また、マイナンバーカードがあれば、マイナポータルと連携して保険診療の医療費情報を確定申告書に取り込むこともできます。まなぶもこの方法で、去年の分を申告できました。

  • 病院・薬局・通院の交通費のレシートを、ほかとは分けて保管している
  • 年明けに、自分と同じ生計の家族の医療費を合計している
  • 所得が少ない年は、10万円ではなく「所得の5%」が基準になることを知っている
  • 市販薬が多い年は、セルフメディケーション税制と比べてみている
  • 医療費通知やマイナポータルで、保険診療の医療費を確認できることを知っている
  • 過去5年分で、申告していない年がないか確認している

戻ってくる金額の目安は、ざっくり言えば「控除される額×所得税の税率」に、翌年の住民税の軽減分(控除額の10%)が加わる程度です。たとえば医療費が年間15万円で控除額が5万円、所得税率が10%なら、所得税で約5千円、住民税で約5千円、合わせて1万円ほどが戻る計算になります。数年分をまとめて見直せば、決して小さな金額ではありません。

※医療費控除の対象になるかどうかや、セルフメディケーション税制の対象となる市販薬は、細かい条件があります。判断に迷うときは、国税庁のホームページや税務署で確認してください。
5おすすめサービス

医療費を記録して、申告で迷わないために

医療費控除は、日ごろの記録と、迷ったときに相談できる先があるかどうかで、申告のしやすさが大きく変わります。

A
支出を可視化したい人向け

サブスク管理・家計簿アプリ【マネーフォワードME (ミー)】

日々の支出をカテゴリ別に記録して、一覧で振り返れるタイプです。病院や薬局での支払いを「医療費」として分けておけば、年明けに1年分の合計をすぐに確認できます。見落としがちな支出を可視化する助けになり、申告するかどうかの判断も早くなります。

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B
確定申告や税務が不安な人向け

副業向け確定申告・税務相談サービス【リベ大税理士法人】

確定申告や還付申告について、税の専門家に相談できるタイプです。医療費控除の対象になるかどうか、過去の分をどうさかのぼって申告するかなど、自分だけでは判断に迷う部分を確認できます。自己流で処理して後から慌てるより、早めに相談しておく方が安心です。

相談してみる

まなぶまなぶ
会社員には関係ないと思って、レシートを全部捨てちゃってました…。
みらいみらい
レシートがなくても、医療費通知やマイナポータルで確認できますよ。5年前の分までさかのぼれるので、今から見直しましょう。
まなぶまなぶ
今年からは病院のレシートを封筒にまとめて、年明けに合計してみます!

医療費控除で後悔する原因の多くは、制度の難しさではなく「自分には関係ない」という思い込みです。まずは1年分の医療費を合計してみること、そして申告していない年がないか5年さかのぼって確認することから始めてみてください。確定申告そのものでつまずいた体験は副業の確定申告で失敗した話で、税金の手続き全体で損をしないための考え方は税金の手続きで損する失敗から学ぶでまとめています。

お金の失敗を全体から見直したい人は、NISAで失敗する人の特徴もあわせて読んでみてください。

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