結論

IT・エンジニア転職で失敗する人に共通するのは、スキル不足そのものよりも、「未経験可」という言葉を鵜呑みにしたまま、準備不足で動いてしまうことです。プログラミングスクールを卒業しただけで安心し、ポートフォリオや実務レベルの理解を詰めないまま転職活動に突入すると、内定は出ても入社後についていけなかったり、実態がSES(客先常駐)中心の会社だったりして後悔するケースが目立ちます。本記事では、IT・エンジニア転職で失敗する人に共通する5つの特徴と、後悔しないための準備の仕方を、まなぶの失敗ストーリーとともに解説します。

1失敗ストーリー

まなぶ、独学プログラミングでのIT転職失敗

配属初日、見慣れないコードを前に愕然とするまなぶ。IT転職後の現実とのギャップを表すイラスト

AIの勉強を続けるうちに、まなぶの中で「自分でもコードを書く側になりたい」という気持ちが芽生えていった。ちょうど会社の業務効率化ツールをノーコードAIで組んでみたところ、思いのほか周囲から褒められたこともあり、「これはもしかしてエンジニアに向いているのでは」と本気で考えるようになった。

SNSでは、未経験からエンジニアに転身した人の成功体験がいくつも流れてくる。「年収が上がった」「リモートで働けるようになった」という投稿を見るたびに、まなぶの気持ちは高まっていった。一方で、実際にどれだけの学習量が必要か、転職後にどんな壁があるのかといった具体的な情報までは、あまり深く調べていなかった。

まなぶはさっそく3か月のオンラインプログラミングスクールに申し込んだ。カリキュラムをひととおり終え、修了証をもらった時点で「これで一人前だ」という感覚があった。実際には、スクールの課題を教材どおりになぞっただけで、自分で一からアプリを設計した経験はほとんどなかったのだが、その事実にまなぶは気づいていなかった。

転職活動を始めると、「未経験からエンジニアへ」という求人が驚くほどたくさん見つかった。まなぶは「未経験可」という言葉を額面どおりに受け取り、それぞれの会社が実際にどんな案件を扱っているのか、入社後にどんな教育体制があるのかまでは深く調べなかった。ポートフォリオも、スクールの卒業制作をほぼそのまま使い回した1本だけだった。

面接では技術的な質問にうまく答えられない場面もあったが、「最終的には人柄重視です」と言われた会社から内定が出た。まなぶは「自分を評価してくれた」という嬉しさが先に立ち、その会社が実際にはIT企業から常駐先の現場へエンジニアを派遣する形態の会社だと、深く確認しないまま入社を決めてしまった。

入社後に配属されたのは、スクールで学んだ内容とはほとんど関係のない古い社内システムの保守現場だった。周囲に教えてくれる先輩もおらず、分からないことは自分で調べるしかない。技術トレンドを追いかけて学んだつもりのモダンな知識は、ほとんど使う場面がなかった。「これなら独学のまま今の会社で頑張ったほうがよかったのでは」と、まなぶは何度も自問することになった。同期入社のエンジニアたちが当たり前のように使っている用語にもついていけず、質問すること自体に気後れするようになり、孤立感はさらに深まっていった。

「勢いで飛び込んだ結果、一番大事な準備を飛ばしていた」。まなぶは、あのときの自分を振り返るたびにそう思うという。憧れだけでは埋まらない準備不足が、後悔の最大の原因だった。

2原因分析

なぜIT・エンジニア転職は準備不足で失敗するのか

1

プログラミングスクールの修了を「実力」だと錯覚する

スクールのカリキュラムを終えたことと、実務で通用するスキルが身についていることは、必ずしもイコールではありません。教材どおりになぞっただけの経験を「実力」だと錯覚してしまうと、転職活動での技術的な質問に十分答えられず、入社後のギャップにもつながりやすくなります。修了はスタートラインであり、ゴールではないという意識が必要です。修了後にどれだけ自分で手を動かして考え続けたかが、実務での通用度を大きく左右します。

2

ポートフォリオ・成果物が薄いまま応募してしまう

スクールの卒業制作をそのまま使い回すだけでは、採用担当者に「自分で考えて作れる力」を十分に伝えられません。設計の意図や工夫した点を言語化できるオリジナルの成果物がないまま応募数を優先してしまうと、書類選考や面接での説得力を欠き、結果的に希望と異なる条件の会社しか選べなくなる可能性があります。既存の教材をなぞっただけの作品ではなく、課題設定から自分で行った成果物であることが伝わるよう、制作の背景まで説明できる準備をしておきましょう。

3

「未経験可」求人の実態を確認しないまま決めてしまう

「未経験可」と書かれた求人の中には、自社でモダンな開発を行う企業もあれば、客先常駐(SES)中心で案件によって働く環境が大きく変わる企業も混在しています。求人票の言葉だけで判断し、実際の事業内容・配属先の決め方・案件のローテーションについて確認を怠ると、入社後に想定と違う働き方をすることになりがちです。面接の場で「配属先はどのように決まるのか」「案件によって使う技術は変わるのか」を率直に質問し、納得できる回答が得られるかどうかも見極めのポイントになります。

4

技術トレンドばかり追い、基礎を疎かにする

話題の新しい言語やフレームワークの情報ばかりを集め、Git・テスト・設計思想といった基礎を後回しにしてしまう人も少なくありません。現場で長く評価されるのは流行の知識よりも土台となる基礎力であり、基礎が弱いまま実務に入ると、学習のキャッチアップ自体に消耗してしまうケースが多く見られます。派手な最新技術よりも、地道な基礎の積み重ねこそが、長く現場で通用する力になります。

5

年齢や年収への焦りから、成長環境を妥協してしまう

「年齢的に今しかチャンスがない」という焦りから、教育体制や成長環境をよく確認しないまま内定に飛びついてしまうこともあります。特に未経験からの転職では、入社後にどれだけ学べる環境があるかがその後のキャリアを大きく左右するため、目先の内定の有無だけで決めてしまうと、長期的なキャリア形成の機会を逃しかねません。焦りを感じたときこそ、「この会社で3年後、自分はどんなスキルを身につけていられるか」という視点で一度立ち止まって考えることが大切です。

3図解

準備不足のIT転職と、土台を作ってからのIT転職

⚠ 準備不足で失敗する人のパターン
スクール修了だけで「実力がついた」と錯覚する
ポートフォリオが薄いまま「未経験可」求人に応募する
会社の実態(案件内容・教育体制)を確認せず内定を承諾
配属先が想定と違い、学んだ知識を活かせないまま後悔する
◎ 土台を作ってから転職できる人のパターン
スクール修了後もオリジナルの成果物を作り込む
求人の実態(事業内容・配属の決め方)を面接で確認する
教育体制や成長環境を比較したうえで意思決定する
入社後もスキルを伸ばしながら定着できる
4解決策

後悔しないIT・エンジニア転職のための5つのチェックリスト

  • スクール修了後も、自分で企画・設計したオリジナルの成果物を最低1つは作る
  • 「未経験可」の求人は、自社開発かSES(客先常駐)中心かを面接で必ず確認する
  • 配属先や案件の決め方、教育体制について具体的に質問する
  • 流行の技術だけでなく、Git・テスト・設計といった基礎の学習にも時間を割く
  • 年齢や年収への焦りだけで意思決定せず、成長環境を比較検討する
「未経験可」は入り口の広さを示す言葉であり、その先の働き方まで保証するものではありません。求人票の言葉の裏側を確認する習慣が、後悔を防ぐ第一歩になります。
5おすすめサービス

後悔しないIT転職のために頼れるサービス

A
総合型転職エージェント

転職成功実績1万【リクルートエージェント】

業界・職種を横断した圧倒的な求人数を誇る総合型エージェント。IT・エンジニア職の求人も幅広く扱っており、自社開発かSES中心かといった働き方の違いも含めて、専任アドバイザーに相談しながら比較検討できます。

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B
市場価値診断

市場価値から本当のキャリアパスを見出すサービス【ミイダス】

これまでの経験やスキルが市場でどう評価されるかを、客観的なデータで診断できるサービス。未経験からのIT転職であっても、自分の強みや適性を客観的に把握したうえで応募先を選びたい人の判断材料になります。憧れだけで飛び込む前に、自分の現在地を数字で確認しておくことが、後悔しない選択につながります。

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まなぶまなぶ
勢いだけで飛び込んで、一番大事な準備をすっ飛ばしていたんだな……
みらいみらい
憧れを持つこと自体は素晴らしいことです。あとは土台をきちんと作ってから動けば、結果は変わりますよ。

IT・エンジニア転職は、未経験からでも挑戦しやすい求人が多い一方で、「未経験可」という言葉の裏にある実態を見極める力が求められます。スクールを修了したことに満足せず、オリジナルの成果物を作り込み、求人の実態を自分の言葉で確認する。この一手間が、入社後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないための分かれ道になります。憧れやSNSの成功体験に背中を押されること自体は悪いことではありません。大切なのは、その勢いのまま動くのではなく、一度立ち止まって土台を固める時間を持てるかどうかです。焦って可能性を狭めてしまう失敗全般については転職して後悔した人の特徴7選でも詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。

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